注)この小説は、TV版のシスプリです。
多少(と言うかかなり)、ゲームと違うところがありますが、あしからず。
呪術×人形=…?
「アニキぃー。お小遣いちょーだーい………」
十二人の妹たちの一人、鈴凛は今日も夢の中で兄貴からお小遣いをねだっていた。
ここはウエルカムハウスの鈴凛の部屋、の隣に鈴凛が無理やり造った研究室(ラボと本人は言っている)。
今日も鈴凛はいろいろと発明に集中するあまり、途中で疲れて寝てしまったのだ。
「アニキぃー。すこしでいいからー………」
ごろりと寝返りを打った。
ゴンッ。
と、たまたまそこにあった機材で頭をしたたか打った。
「………。痛い」
鈴凛は頭をさすりながら起き上がった。
「………。う〜〜〜」
ふらふらする頭を押さえながら、鈴凛は立ち上がった。
「眠い………。でも、のど渇いたぁふぁ〜あ………」
最後が欠伸へと変わり、鈴凛は大きく伸びをしてラボから出た。
「………。階段どこ〜ぉ?」
おぼつかない足取りで、鈴凛はキッチンへと向かった。
キッチンに着いてからも、コップを探すまでがひと苦労であった。なにせ、十三人分もの食材、食器があるのだ。コップ一つもなかなか見つからない。
結局、鈴凛はコップをあきらめ春歌がいつも使っている湯呑みを使った。
「ちゃんと洗って返しておくからねぇー」
鈴凛は湯呑みを洗ってから拭き、戸棚に戻して、キッチンを後にした。
「目、覚めちゃったなー」
鈴凛は階段を上りながら頭を掻いた。そして気づく。
「あっ!あたしお風呂入ってないやー!」
シャワーだけでも浴びようと、鈴凛はお風呂場に足を進めた。
「どーしよー。完全に目が覚めちゃうなぁー」
鈴凛は頭を掻きながらぼやいた。
「そっか!明日(って言うか今日)の朝に入ればイイんじゃーん!!あたしってば、あったまいいー」
鈴凛は回れ右をして、部屋へと戻ろうとして、そのとき初めて、自分の後ろに誰かがいるのに気づいた。
「……………」
「誰?咲耶ちゃん?それともアニキかなー?」
鈴凛は目を擦って、もう一度目を凝らした。
「………あれ?」
鈴凛はもう一度、よく目を凝らした。
「………。鏡かなー」
今、鈴凛の前には、鈴凛がいた。
しかし、よく見たら着ている服が違った。
「なーんだ。メカ鈴凛かぁー。ビックリしたよー」
鈴凛は、アハハーと笑った。
しかしふと、鈴凛の頭の中に疑問が浮かんだ。
「おかしいなぁー。なんでこんな夜中にメカ鈴凛が一人で動いてるわけ?あたしは確かに寝る前にスイッチを切っておいたはずなのに。誰かが起動しない限りメカ鈴凛が勝手に動き出すことなんてないのにぃー?」
鈴凛が悩んでいるうちに、メカ鈴凛は頭をペコリと下げて、回れ右をして歩き出した。
「あっ!?ちょっ、ちょっとー」
どこ行くのー、と鈴凛はバタバタとメカ鈴凛の後を追う。
「おっかしいなー。どっか調子悪いのかなー?」
またアニキに援助してもらわないと、と付け加えることもちゃっかり忘れてない鈴凛であった。
「つっかまーえた!」
鈴凛はメカ鈴凛を後ろから抱きすくめた。
メカ鈴凛がその歩みを止めた。
「どこがおかしいのかなー?鈴凛博士が診てあげよう」
鈴凛はメカ鈴凛の前に回りこんで、メカ鈴凛をまじまじと観察した。
「う〜〜ん。やっぱ中も診ないとね……」
「………」
メカ鈴凛の周りをくるくる回りながらぶつぶつと呟く鈴凛を見て、メカ鈴凛の口が動いた。
「えっ………!?」
ちょうどその時、メカ鈴凛に向けて伸ばしていた鈴凛の手が途中で凍りつくように、その動きを止める。
その瞬間あたしが見たものを、たぶんあたしは死ぬまで忘れない。
いや…忘れたくても、絶対に忘れられない。
その時、メカ鈴凛はあたしの目を見つめ返して、あたしと同じ顔で………。
あたしと同じ顔で、口元を釣り上げ、にっこりと、微笑ったのだ。
それは、鈴凛と同じ顔をしたアンドロイド、の、はずだった。笑う機能なんて、つけていない。いや、本当はつけたかったのだが、微妙な感情コントロールはプログラムが困難だったので鈴凛は断念したのだった。
メカ鈴凛は、微笑むことなんてできない。
あたしと同じ顔をして、微笑むことができるとしたら、それは…誰?
鈴凛の目の焦点が、急にブレた。そしてうわ言のように呟く。
「これは……あたし?そんなはずがない、鈴凛はあたしで、あなたはあたしがあたしと同じ姿に作ったロボット。あなたは鈴凛じゃない、あたしもメカ鈴凛じゃない。だって、ほらあたしだって、微笑むことくらい、できる……」
しかし、鈴凛の顔はまるで凍りついたように動かない。
「あなたは…誰?」
鈴凛は喉の奥から絞り出すような声で言った。
「わたしは…あなた」
メカ鈴凛は、微笑みを浮かべたまま両腕を広げ、鈴凛に近づいていく。
「そして、あなたは…わたし」
鈴凛と同じ顔の人形が、鈴凛を抱きしめようとする。
「イヤぁあぁぁぁあぁぁあぁぁああぁぁぁぁぁぁ!!!!」
鈴凛は絶叫した。
ガバッ。
鈴凛は飛び起きた。そして。
ゴンッ。
たまたまそこにあった機材で頭を打つ。
「いったぁーい!」
鈴凛は打ったところを手でさすりながら起き上がる。
ここはウエルカムハウスの鈴凛の部屋、の隣に鈴凛が無理やり造った研究室だった。
「もしかして………、夢?」
焦点の合わないボーっとした目で、鈴凛は呟いた。
ふと横を見ると、メカ鈴凛がケースの中に納まっていた。
「……………」
おそるおそる近づき、触れてみる。
「どこも異常なし………、だよね」
はぁー、と大きくため息を吐き、鈴凛は研究室から出ていた。
「んでね、んでね!!」
朝食の席で、鈴凛は夢の一件を皆に話した。
皆の反応は様々だった。
「キャー、こわーい」
と、ここぞとばかりに、兄妹の長男である航(わたる)にしがみつく咲耶。
「怖い夢だったね。大丈夫?鈴凛ちゃん」
と、鈴凛の心配をする可憐と、鞠絵と、白雪そして、衛。
「ヒナも見たいみたいー」
「…亞理亞もー………」
楽しそうに騒ぐ雛子と、亞理亞。
亞理亞の方は、口調からではとても楽しそうとは思えないが、表情は、面白いものを見つけて瞳を輝かせる子供のそれだった。
「その幽霊を四葉がチェキするです♪」
虫眼鏡を片手に騒ぐ四葉。
「そのような物の怪、わたくしめが退治して差し上げます」
お茶を啜りながら春歌が言うと、
「じゃあ花穂、春歌ちゃんが負けないように応援するね!!」
チアリーディング部に所属している花穂が楽しそうに言った。
引きつった笑みを浮かべてその光景を見ている航。
実は航、幽霊とかそういったことにめっぽう弱いのだ。いつぞやの幽霊騒ぎのときも、男は僕一人だからしっかりしないと、などと気合を入れていても結局は自分が一番怖がっていたりもした。
どうか鈴凛ちゃんが観たただの夢でありますように………。
ひたすら天に祈る航だった。
そんな航を見て、今まで幽霊話にもたいして興味を示さなかった千影が、唇を吊り上げ、フッと微笑んだのに誰も気づかなかった……………。
「ハアー」
朝食を食べ終え、航は自室に戻ろうと階段を上っていた。
「さすがに、それぞれ趣味のまったく違う妹たちの会話についていくのは疲れるなぁ………」
肩をコキコキ鳴らしながら、航は自室のドアノブに手をかける。
その時。
「兄くん」
「うわあ!!」
航はいきなり後ろから声をかけられた。
「だ、だだだだ……、誰………?」
朝食時の幽霊話もあって、航は過剰な反応をした。顔には冷や汗さえ、浮かんでいた。
「……。ちょっと、相談が……あるんだ」
声の主は千影だった。
「な、なんだ………千影か」
航は、ホッと胸を撫で下ろした。
「で、相談って何?何でも聞いてあげるよ」
「………本当に、何でも?」
千影は意味ありげな笑みを浮かべた。
その笑みを見て、
「ぼ、僕に出来ることならね!」
と、航はあわてて付け加えた。
「そうかい………」
千影は少し、残念そうな表情(かお)になったが、すぐに航の顔をまっすぐ見つめ、
「今朝の幽霊についてなんだが………」
『幽霊』という単語を千影が口にした瞬間、航の表情が強張る。
「こ、ここじゃ何だし……、部屋に入ろうか」
航は内心の恐怖を悟られまいと、千影から視線を逸らした。
「………。兄くんがそれでいいなら。……長い話に、なるしね」
千影は目を細め、妖しげな笑みを浮かべたが、航はドアを開けていたため見えなかった。
「それで、話しって?」
航はすぐ横に座る千影を横目で見ながら、おそるおそる口を開いた。
二人はベッドの上で並んで腰掛けていた。航は床に座ると言ったのだが、千影がベッドがイイと言ったので、結局こうなったのだった。
「……幽霊のことを、兄くんは……どう、思う?」
なんの前触れもなく千影が『幽霊』と言ったので、航はベッドから転げ落ちそうになった。
「な、な、な、なな……!」
何をいきなり言い出すんだ、と言いたいのに、なかなかうまく言葉にならなかった。
「どう、思う?」
千影がググッ、と航に顔を近づける。
お互いの息がかかるくらいにまで近づいてきた。
「ど、どう、って……」
千影のまっすぐな瞳に見つめられ、航はかなり、焦った。
「鈴凛ちゃんも、怖い夢を観て、たいへんだなぁーって」
やっとのことでそれだけを言った。
「兄くんは、あの話を夢の話だと……思ってるんだね………」
千影はいったん顔を離すと、唇の端を吊り上げ、またしても意味ありげな笑みを浮かべた。
「ゆ、夢の話じゃないのかな?ゆ、幽霊なんていないし……」
航は、自分自身でも声が上ずっているのが分かった。
「……………」
千影は顔を俯かせ、しばらくの間何か考えていたが、急に顔を上げ、再び航の方を見ると、
「確かに、今回は幽霊じゃない……」
と言った。
「そ、そうだよね!………エ?今回は?」
航のかなり不安そうな視線を無視し、千影は話を始めた。
「兄くん。あれは、私がやったことなのだよ………」
千影のまったくいつもと変わらない口調に、航は一瞬千影が何を言っているのか意味が掴めなかった。だがすぐに、
「そ、そうなの!?」
と、すっとんきょな声を上げる。
「……………」
千影はコクリと頷いた。
「エっ?で、でも………」
航はいまだにはっきりとした意味を掴めていなかった。
そんな航にかまわず、千影は再び喋りだした。
「鈴凛ちゃんにはすまないことをした……。まさかあそこまで驚くとは、予想外だった」
航はただ、呆然としているだけだった。
「兄くんは、藁人形の呪いを知っているかい?あの、丑の刻にやると、効果を発揮する、強力な呪術だ」
航はコクコクと頷くばかりだった。
「その呪いを、さらに発展させた呪いが………、本人と寸分の違いもない人形を使った、呪いだよ」
千影の瞳に危険な光が宿るが、航は気づかない。
「前から一度やってみたかったんだが、なかなか……、サンプルが見つからなかった……、でもよくよく考えたら、すぐ近くにイイサンプルがあるじゃないか………」
「それが、メカ鈴凛?」
コクリ、と頷く千影。
「そして、私はとうとう、実行に移したんだ……」
「それが、今朝の?」
再び、コクリと頷く千影。
「しかし、ある意味鈴凛ちゃんにはイイ薬になったんじゃ……ないかな」
「エ?」
「人間が人間を造ることなんて、できないんだよ、兄くん」
千影は悟すように言った。
「そ、そうだね………」
生返事を返す航をよそに、千影はベッドから腰を上げた。
「兄くん、もうすぐおもしろい事が起こるから……、楽しみに待っていて、くれ」
「う、うん」
何度もコクコクと首を上下に動かした。
「それじゃあ………」
千影は妖しげな笑みを浮かべ、航の部屋を後にした。
「ハアァー」
航はしばらく手を振っていたが、千影の足音が完全に聞こえなくなると、特大のため息を吐いた。
「しかし一体、おもしろい事って……なんだ?」
航は首を傾げるばかりだった。
――数日後。
「アニキぃー!援助してー!!」
鈴凛は今日も航からお小遣いを貰おうとしていた。
航は買い物に行こうと、ちょうど玄関を出るところだった。
「………。はいはい」
航はしぶしぶといった感じでズボンのポケットから財布を取り出し、中から千円札を一枚取り出そうとして、
「ありがとね!全部くれるなんて、さっすがアニキ!!」
と、『メカ鈴凛試作ゼロ号機』のマニュピレータに財布の中身を全て持っていかれた。
「っちょ!ちょっと!?」
航は急いで取り戻そうと手を伸ばしたが、すでに鈴凛はいなかった。
「そ、そんな………」
絶望に駆られる航だった。
「今月の残金千円……」
立ち尽くす航。手には千円札が握られている。
と、そこに。
「あーにーきーー!!」
「エッ?」
またしても鈴凛がやってきた。
「ど、どうしたの?援助はさっき………」
戸惑う航だが、ふと、違和感を感じた。
「エッー!もう先を越されたのーー!!」
鈴凛は何やら悔しそうだった。
「あ、あれ?鈴凛ちゃん、さっきと着てる服が……」
言われてみればそうだった。
さっきの鈴凛はいつもの服装だが、今、目の前にいる鈴凛はメカ鈴凛の服を着ている。
「いつの間に着替えたの?」
「あれ?アニキ気づいてないの?」
鈴凛が首を傾げる。
「気づいてないって、何に?」
今度は航が首を傾げた。
「へへー。あたしが誰だかわかる?アニキ」
「な、何を言い出すんだい。鈴凛ちゃんは鈴凛ちゃんじゃ………」
「本当にそう思う?」
「エ、エエッ!!??鈴凛ちゃんじゃないの!?」
「どうでしょー」
予想外の答えに航は思いっきりビビッていた。
そ、そんなバカな!!
航はただ戸惑うばかりだった。
「………。やあ。兄くん」
そこに千影が通りかかった。
「どうだい、兄くん。楽しんで……もらえたかな?」
「エッ?」
千影は航の横に立っている、鈴凛の横まで歩いていき、
「兄くんの可愛い妹たちが、それぞれ二人ずつになったら……、兄くんもさぞかし喜ぶだろうと思ってね」
と、鈴凛の頬を撫でながら言った。
「な、何のこと?」
航はまだ、千影の言わんとしている事が飲み込めていなかった。
「……フフッ………」
唇の端に妖しげな笑みを浮かべて、千影は階段を上って行った。
「……………」
航はただ、呆然とするばかりだった。
「アニキー」
「……エッ?あ、ああ。何かな?」
「何かなー、じゃないよー。あたしが誰だかわかった?」
「え!?鈴凛ちゃんじゃないの?」
航は鈴凛の着ている服を見て、まさか、とは思ったが恐ろしくて口に出す事が出来なかった。
「実はあたしはー」
「じ、実は……?」
ゴクリ、と航は生唾を飲み込んだ。もう、何でも来い、と覚悟を決めた。
「鈴凛ちゃんなのでーす!!」
バッグでぱんぱかぱーんと、景気のいい音がどこからか鳴り響いた。
「…………え?」
またしても予想外の答えだった。
しかし今度は、うれしいほうに外れてくれた。
「な、なんだ………」
航は肩の力を抜いて、はぁー、と息を吐いた。しかし、鈴凛の次の発言で、航は地獄に叩き落された。
「さっきのが、メカ鈴凛だよー」
航は目の前が真っ白になった。
「へへー。わかんなかった?」
鈴凛は無邪気にはしゃぎ回った。
航はただ呆然と立ち尽くしていた。
「あのねー兄貴ぃ。昨日ね、千影ちゃんが来てね、メカ鈴凛を見してくれって言ったから見せたんだー。そしたら千影ちゃんがね、面白いものを見たくないかって言ったから、見たいーって言ったら」
「ああなったの?」
航の肩は震えていた。
「うん!そーなんだよ!!メカ鈴凛があたしみたいになったんだ!ちょっとビックリしたけど、考えてみたらいろいろと便利じゃん♪」
航はこのときやっと、さっきに千影に言われた妹二人うんぬんの意味を理解した。そしておそるおそる、鈴凛に訊ねてみた。
「その、もしかして……他の子の分も………」
「よくわかったねー、兄貴ぃ!!そうだよ。きっとあたしが十二人を二十四人にふやしてみせるからねー!!あ、千影ちゃんの協力もいるね」
楽しそうにはしゃぐ鈴凛をよそに、航は自分の意識がどんどん落ちていくのが分かった。
そして、鈴凛の次の一言が航にとどめをさした。
「兄貴ぃ。と言うことで、今まで以上に援助お願いね♪」
「うわああぁぁああぁぁあああぁぁぁぁぁ!!!!!」
航は絶叫した。
「――うわぁぁああぁぁあ……………、あ?」
航は自室のベッドで目覚めた。
「ゆ、夢なのか?」
航はグラグラする頭を押さえながら、なんとか起き上がった。
「あ。財布……………」
航は、這うようにして自分の机まで行き、財布の中身を確かめた。
「………ふぅ」
中身はちゃんとあった。
「どうしてあんな夢を………?」
航が首を傾げていると、
「それは兄くんが、望んだから………」
「うわぁ!!??」
いきなり後ろで声がした。
航がおそるおそる振り向くと。
「やあ。兄くん」
案の定、千影がいた。
「ち、千影ちゃん。いつからそこに?」
冷や汗を流しながら、航は千影に質問したが、
「兄くん。やっぱり、二人ずつくらいは……欲しいのかな?」
と、逆に質問で返されてしまった。
「エ?な、何が?」
航は戸惑うばかりだった。
「よくわかったよ………」
と、千影は一人頷き、部屋を出て行った。
「な、何が分かったんだい?」
航は、閉まったドアに向かって問いかけたが、当然答えは返ってこなかった。
――数日後。
「お兄様。見せたい物があるの」
十三人全員が揃っている朝食の席で、咲耶が他の妹たちを代表するように言った。
「何かな?」
最近は、この咲耶のいきなりの発言にだいぶ慣れてきた航は、落ち着いた態度で対応した。
「あのね、鈴凛ちゃんが新しい発明をしたの」
「ふーん。それは楽しみだ」
これは本心だった。
「お兄様、絶対ビックリするわよ」
咲耶が絶対、の部分を妙に強調したのに、航はまだ気づいていなかった。
「じゃあ、みんな。いくわよ」
「みんな?」
航は首を傾げながらも、内心楽しみにしていた。だが、そんな期待心も次の瞬間には。
「じゃーーん!!」
咲耶と可憐が、航のちょうど正面にある大きな扉を、二人で開いた。
そしてそこには……………。
「おにいちゃ〜〜〜ん!!!!!!!」
可愛い妹たちが、十二人いた。
その顔も、仕草も、元(オリジナル)の妹とまったく違わなかった。
「―――――――!!!!!!!!」
航はその場に倒れこんだ。
その航の表情は、『そんな、バカな』と言っていた。
「よかったね。兄くん」
千影は目を細めて笑った。
――数日後。
航は、皆に頼み込んで、その十二人分の人形を処分してもらうのに成功した。
〜あとがき〜
いや〜、よかったねー。
なかなかいい出来だと、自画自賛してますよ♪
「……………」
あれ?彼方は、千影さん?
「……。酷いじゃないか、作者くん」
エ?何が?
「…あれじゃあまるで、私がわるものだ」
ええー!!千影ってそんなキャラじゃないの!?
「……………」
あの、その手にもっていらっしゃるのは……?
「……。ああ。これは、この作品でも登場した」
ああ。藁人形ですか。………って、エエ!!!
「作者くん」
は、はひ!!
「今度からは、発言をする際には……、気をつけたほうがイイ」
わ、分かりました!!
と、言うわけでね!!次回もじゃんじゃん作ってくよ!!もう、サクサク〜ってね!!
「ほかの事も、忘れないように……。とくに、学業」
うッ!!
分かってます…………。
で、感想はこちら。千影さんお願いします。
「わかってるよ……。『clto@ezweb.ne.jp』だよ………。感想がこないと、なかなか書く気が起こらないらしいからね。私からも、感想を書いてくれるようにお願いしよう」
あ、ありがと〜。で、希望とかも聞いていきますね。こーして欲しいとかも、ジャンジャン送ってきて☆
「それでは、ここらへんで………」
さよーならーー!!
「科白を、取らないでもらいたい………」
すみません。あやまりますから、その藁人形を手放して………。
「それは……作者くん、次第だね」
そうですか………。
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