狂詩曲  〜Rhapsody〜

 

 

『さようなら』 別れの言葉。

『こんにちわ』 出会いの始まり。

 私はすべてを受け入れる…………

 

 

 旅人がひと時のやすらぎを求め、私のもとに訪れる。

 私は、できる範囲で彼らの要望に答えていく。

 怪我を負った者は傷を癒し、

 不安に駆られる者は不安を紛らわし、

 哀しみを背負った者は慰めてあげてきた。

 それが私の仕事だったから……。

 

 それでも、私は何処にもいない。

 誰の記憶にも残らない。

 私は、“ひと時のやすらぎ”のみを求められてきたから。

 

 だから、誰の記憶にも残ることはない。

 

 そんな私に与えられた言葉。

『こんにちわ』

 と、

『さようなら』

 

 私は、別に喋る必要はない。

 いつも一人でいるから。 

 言葉なんて要らない。

 言葉なんて必要ない。

 私に求めれるものは、旅人を癒すことだけ。

 旅人の他愛もない自慢話に頷けば、それで旅人は満足していく。

 

 

 それでいい。

 私は、それでもかまわない。

 たとえ、誰の記憶にも残らなくとも、私は、ここに、いる。

 旅人がここを訪れる限り、私はここにいる。

 だから、私は日々を忘れていく。

 旅人のことも、

 この何気ない日常も、忘れていく………

 

 

 ただ一つ、私が望むことが出来るなら、

 私はきっと、こう願うだろう。

『“ありがとう”としゃべりたい』

 

 

 この、何気ない、

 味気ない、

 何の変哲もない、

 つまらない日々に、私は言いたい。

 

 

 “ありがとう”

 

 

 旅人に言いたい。

 

 

 “また、来てください”

 

 

 旅人が帰ってしまえば、

 私は一人ぼっち。

 また、つまらない日々を一人で過ごしていく。

 それでも、時間は過ぎていき、

 新たな旅人が私のもとに訪れる。

 そして、

 私の中の時間が動き出す。

 

 

 私は、私のもとを訪れた旅人に、

 いつもと変わらない笑顔でこう言うの。

 

 

『こんにちわ』

 

 

YOU’RE GONNA CARRY THAT WHEIGHT.

 

 

 

 

〜あとがきにゃーの〜

 

 最近、何故か『魔法少女猫 たると』をもう一度、今度はしっかり観たいな、とか考えてます。

 さてこの作品、私が一つ歳をとったので、記念に書きました。

 丸一日考え込んで、これだけしか思いつきませんでした。

 当初は『逢いたいけど、会えない』をテーマに書こうとしてましたが、ネタがなかったので、結局こうなりました。

 最後の英文の、「この重荷」とやらは、人それぞれでしょう。少なくとも私の重荷は、『過去』と『未来』でしょうかね。

 酒飲んで、煙草すって、馬鹿やってた『過去』。

 『現在』からは決して見えない『未来』、これらは私に重くのしかかってきますが、私はこれらを手放すことが出来ない。

 彼方がたも、決してその重荷を手放すことがないように……。

 それでは、批判でも、なんでもいいんで、これを読んでなにか感じたことがあれば、ご一報ください。

 〜クルト・F・ステファンより〜

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