※諸注意

この小説は、かなりいろんな意味でギリギリの線を越えちゃったり越えなかったりしてますが、まぁ、そんなに気にしないでください。

 

 

 

 

 

妄想の小部屋[今流行の能力者モノ]

〜何故かいい加減に収拾を付けたいしもうすでにオチも決まっているけど次から次へとネタが思い浮かぶ上そろそろKanonのキャラだけじゃ物足りなくなってきたなぁと思いつつももうすでにONE出てるじゃんと自分で突っ込みを入れたりしている今日この頃的小説DX決定版〜

 

 

 

 

 

 

 もし自分以外の誰かと、

 

 自分自身の役割を交代できるとしたら?

 

 もし自分以外の誰かに、

 

 自分自身の役割を押し付けることが出来るとしたら?

 

 もし自分以外の誰かが、

 

 自分自身の役割を奪おうとしているとしたら?

 

 もし……。

 

 しかし、

 

 物語に"if"はない。

 

 そして、

 

 彼らは物語の中の物語の中でしか生きられない。

 

 そんな彼らに、"もしも"は無い。

 

 

 

 

 名雪は、その人物を見て驚いた。

 それはそうだ。

 忘れているかもしれないが、この話は[探偵モノ]から続いている話なのだ。

「あ、ああああああぁ!!」

 名雪の視界に入ってきた人物とは?!

 

 

 闇の中で立ち上がり、

「ぜったいに、ゆるさないんだから!!」

 拳を高々と振り上げると、真琴は漆黒の闇を睨みつけた。

 そのまま数秒固まっていた。

 どうしたらいいのだろう?

 そればかり、真琴は考えていた。

 まぁ、考えても出ないものは出ないのだ。

 そんなこんなで、

「行動あるのみ!!」

 真琴は闇の中を駆けていった。

 

 数十分後。

 

「はぁ、はぁ、はぁ……」

 肩で息をしながら、真琴はどこまでも続く闇を睨みつけた。

「なんにも、変わってない」

 どこまで走っても、景色は変わらない。

 まるで走っている気がしない、なんともいえない不思議な感覚の中で、真琴の五感は鈍り始めていた。視界は狭まり、さっきから耳鳴りがやまない。自分がいま蹴っているのは本当に地面なのか? それすらも分からなくなり始めたとき、真琴の視界に何かが入ってきた。

「!!」

 それは、小柄な人間だった。

 背中に羽根付きリュックを背負い、ダッフルコートを着ていた。頭には、カチューシャを乗っけている彼女は、月宮あゆだった。

「……なぁんだ」

 出てきたのが顔見知りと分かった真琴は、ハァーと胸に溜まっていた息を吐いた。

「…………」

 しかし、あゆの表情は、まるで氷のように冷たいものだった。しかし、そんなことに気づく真琴ではない。

「もう、驚かせないでよね!」

 仲間を見つけてすっかり安心しきった真琴は、あゆに歩み寄った。

 しかしあゆは、依然、冷たい表情のまま真琴を見つめていた。

「…………」

「どっから入って来たの? 出口、どこ?」

「…………」

「なんでずっと黙ってるのよ?」

 ここに至って、ようやく真琴はあゆの異常に気づいた。

 しかし、あゆはどこを見てもあゆだ。外見も、においも。

「? どうしたの?」

 真琴が、不審に思って、あゆの肩に手を触れようをしたとき、

「″L'Apesso――吊し人(何ものも捕える網)″!!」

 あゆは能力を発動させ、両手を前に突き出して、そこから放たれた十本の光の紐で、真琴を縛り上げた。

「な、なに?!」

 真琴は驚き、手足をバタつかせるが、あっというまに縛り上げられてしまった。

「…………」

「ちょ、ちょっと、離しなさいよ!!」

 真琴がいくら暴れようとも、あゆは微動だにしないで、それを冷たい表情で見つめていた。

「い、イタイ……。なんか、コレ、きつくなってる……」

 真琴の身体が、しだいに宙に浮いていく。

「しかたないんだよ」

「?」

 それまで無言で真琴を見上げていたあゆが、視線を下げて、呟いた。

 その声は、いまにも消え去ってしまいそうなくらい、弱々しい声だった。

「祐一くんの、ためなんだから……」

「? ゆう、いちが……どうかしたの?」

 真琴は、締め上げてくる紐に苦しみながらも、声を絞り出した。

「祐一くんのためなんだから、仕方ないんだよ!!」

 あゆは、真琴をキッと睨んだ。

 その眼には、涙が溜まっていた。

「……」

 気を抜けば、一瞬で気がとびそうになりながらも、真琴はあゆを見ていた。

 なにか、おかしいのだ。何もかもが一緒のはずなのに、何かがおかしいのだ。

 それに気づけない。

「う、うぅ……」

 しかし、どんな理由があろうとも、このまま締められるわけにはいかない。このままでは命が危うい。

 真琴はIl Mondo――世界(創造と破壊)を発動させようと拳を強く握った。

「こ、……んのぅ!」

 真琴の拳が光り始めたその時、

「……ごめんね」

 あゆがそれまで前に伸ばしていた腕を、大きく振り上げ、そのまま力いっぱい、振り下ろした。

「う、ぎぃ……」

「ごめんなさい!!」

「キャアアアアアアアアアアァァァァァッッ!!」

 ブシッ、と肉が裂ける音とともに、腱が千切れ、骨が砕けた。

 紅い、紅い血を浴びてもなお、あゆは冷たい表情の眼に涙を溜めたままだった。

 

 

「!!」

 意識が覚醒すると、美汐はまずあの子の存在を確かめようとした。

 しかし、あの子の姿は当然のように、無い。

 そして美汐は、自分がどこに居るのかを確かめようと、辺りを見回して、

「――!?」

 絶句した。

 そこは、絵本などでよく見る、お姫様の部屋そのものなのだ。

 天蓋つきのベットといい、淡い色のピンクで統一されている布団類。そして、窓辺では白いレースカーテンが揺れていた。窓の正面に位置しているドアは、ゴテゴテの西洋風だし、天井からは、よく落ちてこないなとしか言いようのないほどドデカいシャンデリアまであった。

「こ、ここは……」

 いくら辺りを見回しても、誰も居ない。美汐は、この部屋に一人だった。

 部屋を見渡してみると、ベットのすぐ横に、これまた少女趣味な小さなテーブルがあった。そしてその上には、ベルが一つ、置いてあった。

「これは……?」

 美汐は、とりあえずベットから降りるとその鈴を手にとって見た。

 鈴は、よく映画やドラマの中でお金持ちが使っているものに似ていて、精巧に作りこまれていた。取っ手の木の部分でさえ、かなり細かい細工が施してあり、一目で高価なものと分かる代物だった。

 映画などの中では、この鈴を鳴らすと、家政婦さんが来るのだが……。

「まさか……」

 そうは思いつつも、美汐はつい、鈴を手にとってしまった。そして、恐る恐るだが、

 

 チリン♪

 

 振ってみた。

 鈴は、思った以上にカワイイ音だった。

 

 ガチャン。

 

「呼びましたか……?」

「?!」

 いきなりの出来事だった。

 鈴を鳴らして、すぐにドアが開いたのだ。

 もしかしたらもしかするかも、とは思ってはいたが、あんな小さな音が果たして外まで聞こえるものだろうか。しかし、現にこうしてメイド姿の栞がいるということは……。

「……?」

 メイド?

 何故、メイド?

「あ、これですか?」

 美汐の視線に気づいた栞が、その場でクルッ、と回ってみせた。

「倉田先輩に、借りたんです」

「……あの先輩ですか」

 なぜか、あの倉田佐祐理が栞にこのメイド服を手渡ししている光景をリアルに想像出来てしまった美汐だった。

「ところで、ここは?」

「この家ですか? この家は、倉田先輩の家らしいですよ」

 コレも、なんとなくだが予測できた。

「他の、みなさんは?」

「お姉ちゃんたちなら、倉田先輩の部屋ですよ」

「倉田先輩の……部屋?」

 ここがそうじゃないのか?

 この少女趣味丸出しの部屋では、ないのか?

「じゃ、じゃあ、この部屋は?」

「この部屋は、倉田先輩の家に住み込みの家政婦さんの部屋らしいですよ」

 住み込みの家政婦さんに、こんな広い部屋を……。

 私も家政婦さんになりたい、と切に思う美汐だった。

「……?」

 そういえば、何か忘れている。

 ここはどこだ?

 倉田先輩の家、という以前に、ここはどこだ?

「!!」

 そうだ、ここは、現実の世界ではないはずだ。

 なら、なんで倉田先輩の家があるんだ?

「どうして、私たちは倉田先輩の家にいるんですか?」

「ここは倉田先輩の家じゃありませんよ」

「?」

 でもさっき、先輩の部屋がどうとか言っていた気が……。

「ここは、倉田先輩の別荘だそうです」

「別荘?」

「そうですよ。四国の桂浜とかいうところにある別荘ですよ」

 四国? 桂浜?

 地理の知識を引っ張り出してくると、何となくだが思い出せた。

 確か、坂本龍馬がどうとか、授業中に教わった気がする。

 というか、四国?

「それ、本当ですか?」

「本当ですよ。ここは、四国の桂浜だそうです。お姉ちゃんも言ってたから間違いありませんよ」

「そう、ですか……」

「もう身体は大丈夫ですか?」

「ええ、もう平気です」

 そういうと、美汐は持っていたベルを机の上に戻した。そこで、はじめて自分がいま着ている服に気づいた。

「こ、これは……」

「似合うと思いますよ」

 栞は、邪気の無い笑顔でそう言った。

 美汐が着ていたのは、栞とはまた違ったメイド服だった。

 栞のメイド服は黒を基調にした、チェック柄のメイド服で足元まであるスカートとそれに合わせた白いフリルつきのエプロンなのに対し、美汐が着ているのはもっと胸を強調したもののうえ、色は淡い紫で、スカートはかなり短いもので、それに合わせた白いフリルつきのエプロンだった。しかし、カチューシャは二人とも同じものだった。

「誰の趣味ですか?」

「さぁ?」

 美汐はとりあえずこの件については置いておくことにした。いまは、そうそうに着替えたかった。こんな慣れない服では落ち着かないにも程がある。

「私の制服、ありますか?」

「ありますよ。でも洗濯しましたから。もう少しその格好でいてくださいね」

「…………」

 仕方ありませんね、と美汐はため息を吐いた。

 でも、制服に着替えたところで足元がスースーするのは同じだから、この際これは我慢することにした。

 それよりも問題は、何故、自分たちが四国にいるのか、ということだった。

 いまは、少しでも多くの情報が欲しいのだ。

 部屋を出る直前、美汐は外になにか、違和感を感じた。

 

 

「あ、起きましたか?」

 そこはリビングというには広すぎる空間だったが、もう美汐は気にしなかった。

 美汐と栞は佐祐理の部屋という名の、学校の教室よりもはるかに広い空間に行ってみたが、そこには誰の姿も無く、一階から順に探してみようということに階段を下りているときに、佐祐理に声を掛けられたのだ。

「先輩、一応聞いておきます。ここはどこですか?」

 ソファーに座っている三人に、美汐は問いかけた。

「四国の高知県にある桂浜よ」

 美汐の質問には、香里が答えた。

「……坂本龍馬の銅像があった……」

「さっき見てきたんだよねー、舞」

「はちみつくまさん」

 となるとやはり、ここは桂浜。

 しかし何故に桂浜。

「さっきまで居た場所から考えても、ここが桂浜だというのは不自然です」

「私もそう思ったんだけどね。でも、ここは、少なくともここいら一帯は桂浜ということになってるみたいよ」

「ここら一帯……?」

 香里の微妙な言い回しに、美汐は首を傾げた。

「これに関しては、口で言うより見た方が早いわね。ついてらっしゃい」

 香里はそういうと、ソファーから立ち上がり、スタスタと歩き出した。

「……」

 しばらく突っ立っていた美汐だったが、香里が外に出ると、仕方なくついていった。

 

 

「遅いわよ」

 美汐が外に出ると、香里は玄関から少し出たところで腕組みをしていた。

「すみません。……それにしても、広いですね」

 美汐は周りを見て、あらためてため息を吐いた。

 それはそうだ。なんといっても、この家の敷地から出るための門が、はるか向こうにあるのだ。外に歩いて出ようなんて、それだけでもいい運動になるに違いない。

 別荘でこんなものだったら、倉田先輩の家は、いったいどんなものなんだろう?

 想像がつかない。

「まぁ、こんなものは気にしないで。それよりも、こっちよ」

「……こんなもの、ではない気がするんですが」

「こんなもの、よ。所詮は」

 香里はそう言うと、建物に沿って歩き出した。

「そ、外に行くんじゃないんですか?」

「外? 外には、海と浜辺と水族館と闘犬場に、それこそあの坂本龍馬のどでかい銅像しかないわよ」

「詳しいですね」

「見てきたから」

 香里は一度も美汐の顔を見ようとせず、スタスタと歩いていく。

「そういえば、」

 無言のまま歩いていくのは、いつもなら気にならない美汐だったが、今回はなんとなく気まずきなってきた。

「そいうえば、あの羽のリュックを背負った女の子の姿が見えなかったみたいですけど?」

「あの子? あの子は、逃げる途中ではぐれたのよ。なに、心配しなくても死にはしないから大丈夫でしょう」

「はぁ」

 何故、そう断言できるのだろうか?

 それはそうと、会話が終わってしまった。

 香里はいまだにスタスタと先を歩いている。

 は、話を振らなければ。

「そういえば、私はどれくらいの時間、寝ていたのですか?」

「いきなりね」

「え、ええ……少し気になって」

 香里が強い口調で返してきたため、美汐の声は後半かすれていた。

「どれくらいって、あたし時計持ってないし。……あの家にも、時計は無かったわね」

「だいたい、でいいですから」

「ん〜、だいたいね。それなら、半日くらいじゃない?」

「半日……」

 そんなにも、と美汐は驚いた。

「あたしと栞でここいら一帯を探索できた上、夕食もとったしね」

「夕食……」

 ここにいたって、美汐は今日一日、朝から何も口にしていなかったことを思い出した。

 どうりで、お腹が空いているわけだ。あの家に帰ったら、私もなにか頂くことにしよう。

 でも、それにしては周りが明るいような……。

 美汐が首を傾げているのを横目で見た香里は、

「気づいた? 腕時計を見てみなさい」

 素っ気ない口調で、用件だけを簡潔に言った。

「腕時計?」

 美汐は言われるままに腕時計へと視線を移した。

 と、

「?」

 美汐の眼に映った時計は、秒針が反時計回りに動いていた。

 

 

「あ、ああああああぁ!!」

 折原に言われて、名雪が見た人物とは、

「よっ」

 ブレザーの制服に身を包み、頭のアンテナトレードマーク。

 その名は、北川潤!!

「北川くん、死んだんじゃないの?!」

「いきなり言ってくれるな、水瀬……」

 出てきていきなり出鼻を挫かれた北川だった。

「あとは、彼がなんとかしてくれるだろう」

 折原は北川に一瞥くれると、

「俺は、行くところがあるから」

 名雪に笑いかけた。

「え、どこに?」

「さぁ? とりあえず、桂浜あたりかな?」

「桂浜……ってどこ?」

「普通は知らないわな。桂浜ってのは、四国の中の高知県にある坂本龍馬の巨大銅像がある浜のことだ」

 名雪はなんとなく、中学校の頃に地理で教えてもらったことがあるような気がした。

「でも、そこって遠いんじゃ……」

「そうでもないさ。道程さえ分かれば、距離と時間は問題じゃない」

 折原はそう言うと、名雪に背中を向けて歩き出した。

「北川くんとやら、また会おう」

 折原は北川と対峙すると、右手を差し出した。

「お、おう……」

 北川は戸惑いつつも、その手を握った。

「じゃあな」

 折原は名雪に笑いかけると走り出した。

「……なぁ、水瀬。あいつ、誰?」

「折原こーへーくん」

「なんか、相沢に似てるな」

「うん、私もそう思った」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 桂浜水族館、今年は行けなかったな……

 去年は行ったんですけどね。

 みなさんも、一度は行ってみては?

 あの龍馬の銅像はマジにでかいですよ。

 まぁ、今回の話でいきなり桂浜が出たのは、そんな理由だったりします。

 それでは。


感想送信用フォーム>
おなまえ    めーる   ほむぺ 
メッセージ
 
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送