※諸注意

この小説は、かなりいろんな意味でギリギリの線を越えちゃったり越えなかったりしてますが、まぁ、そんなに気にしないでください。

 

 

 

 

 

妄想の小部屋[今流行の能力者モノ]

〜なんだかダルダルなうちに今年が終わってしまいそうで怖いけれどそれよりも年末はパソコン無しで過ごすのが恒例だったような気がしなくもなくそれよりも重要な一人旅がまた待ち受けているわけで今回はどんな出会いがあるだろうと一人楽しみにしている今日この頃的小説DX決定版〜

 

 

 

 

 

 

 それはゲーム。

 

 ひとの命を賭けて争うゲーム。

 

 決して許されてはいないけれども、

 

 そうしないと助けられないひとがいる。

 

 しかしゲームにルールはつきもの。

 

 ゲームは、ルールがあってはじめて成り立つのだから。

 

 ルールの無いゲーム。

 

 それは、ただの殺し合い。

 

 ルールに縛られながらも、

 

 ゲームは進んでいく。

 

 助けたいひとがいる……

 

 倒さねばならない相手がいる。

 

 だから、ゲームは進んでいく。

 

 あくまで、ルールに従って…………

 

 

 

 

 千日手――リピテーション。

 禁じられた手。

 決して勝敗がつかない勝負。

 不毛で、精神のみが削られていく勝負。

 そんなことははじめからふたりとも分かっている。

 ただ、自分たちだけのうのうとしていたくはない。

 自分を助けようとしているひとたちが、いる。

 そのひとたちが、戦っている。

 だから、自分もやらねばならない。

 生きようと、もがかねばならないんだ。

「俺は、ここでただ待つだけなんて出来ない!」

 祐一は、杖を振るう。

 その度に、もう一人の祐一は紅蓮の炎に襲われる。

 轟々と襲い来る炎を漆黒の刃を持つ刀で斬りながら、祐一は叫ぶ。

「それは、俺もだ! 相沢祐一!!」

 お互いに、一歩も引かない。

 それは、同じだから。

 まったく、同じだから。

 物質だろうが、反物質だろうが、ココロは同じ。

 思うことは同じ。

 

――生きたい。

 

 ひょんなことから死んでしまい、この境界線上に縛られることとなった身。

 それを、助けようとしてくれているひとたちがいる。

「負けられないんだ!!」

 刀を大上段に構え、突進する祐一。

「負けたくないんだ!!」

 杖を振るい、炎を巻き起こし距離を取る祐一。

 鏡を見ながら闘っているようだった。

 同じ眼。

 同じ唇。

 同じ鼻。

 同じ髪。

――同じ顔。

 何も違うところなんてない。でも、根本が、違う。根っこのところ、もっとも深い、ココロよりも深いところが、お互いに違う。

 それは、誰が仕組んだのだろう。

 同じなはずなのに、違う。

 まったく同じなはずなのに、まったく正反対。

 生き残れるのは、どちらか一方。

 だから、なのだろうか。

「俺は、俺を必要としてくれているひとのためにも!」

 杖を左手に持ち替え、右手だけで印組む祐一。

「勝つ!!」

 印が、牙という字を象る。その瞬間、炎がいままでにない勢いで刀を持った祐一に襲い掛かる。刀を持った祐一を取り囲み、いままさに襲い掛かろうとしている様は、まるで獣が、獲物の肉を食い千切ろうを口を閉じるかのようだった。

「俺は、まだやること、やりたいことが山ほどあるんだ!!」

 炎の真ん中で、刀を振るう祐一。

「こんなところで、止まってられないんだッ!!」

 刀で炎を十字に斬りつける。

 炎の牙の攻撃が、一瞬怯んだ。その隙に、祐一は炎の牙から脱出する。

「負けない!!」

「負けたくない!!」

 お互いに、一歩も引かない。

 お互いに、決定的なダメージを負わすことが出来ない。

 まさに――手詰まり。

 

 

 闇の中で、真琴は考えていた。

 泣くのに飽きたから、というかもういい加減に涙も枯れてしまったからか。

 さんざんに泣きはらした両目は、赤く腫れていた。

「なんで……」

 真琴は考える。

 さっきの北川の言葉。

 

「……昇格――プロモーションを果たしたやつがいるというから、誰かと思ったら」

 

 昇格、ってなに?

 ぷろもーしょんって、なに?

 考えてはみるが、知らないんだから答えなんかでない。

 それでも、なんとなく予想はつく。

 これも北川が言っていた言葉だが、

 

「まあ、いわゆるレベルアップというやつだ。半端なレベルアップじゃないけどな」

 

 レベルアップということは、強くなったということ。

 祐一のゲームであったからそれは知っている。

 レベルアップすると、いままで使えなかった力を使うことが出来る。その力は、取説に書いてあるから効果とか、ダメージの範囲とかはすぐに分かる。でも、実際に自分がそうなったとしても……

「あう〜っ」

 分からない。

 どこがどう、強くなったの?

 なにが使えるようになったの?

 っていうか、実際私はどれくらい強いの?

 分からない。分からないと、不安になる。

 だから、涙があふれてきていた。でも、その涙はもう出ない。

 そうだ、もう泣いてはいられない。

 泣く前に、しなければならないことがある。

 もう止まってはいられない!

 真琴は立ち上がると、走り出した。

 闇を切り裂くように――走り出した。

 

 

 少年は、笑顔で頷く。

「やっと、ルールが分かったからな」

「ルール?」

 名雪は、眉をしかめる。

「そうだ。この、ゲームのルールがな」

 北川は、心底楽しそうに笑った。

「ここは反物質の世界でも、俺たちの世界でもない……。その境界線上にあるんだ。そして、ここでは水瀬や俺たちは駒。俺は騎士――ナイトで、水瀬たちは兵士――ポーンだ」

 だから、俺は強い!

 北川は確信した。

 いまこの状況での自分の立場を。

 圧倒的に有利だという、自分の立場を。

「いま目の前にいる美坂栞は、俺たちの知る美坂栞じゃない。俺たちの倒さねばならない――敵だ!!」

 北川の身体が、霞むように、

「いくぞっ!」

 映像がぶれる様に、

「!!」

 栞の視界から、消えた。

「どこに!?」

「騎士――ナイトは、八方へ跳躍し敵の頭上から襲い掛かる……」

 声が聞こえる。

 北川の声が、店内に木霊する。

 栞のときとまったく同じ、北川の姿は見えない。しかし、一つだけ違うとすれば、それは――

 

 ドドドドドドッ!!

 

 店内を疾走している北川の足音も、店内に響き渡っている。

 北川は止まることなく、″Il Sole――太陽(神の如き速き足)″を発動させたときの名雪よりも早い動きで店内を駆け回る。

 ありえない、話だった。

 名雪たちには能力があって、名雪は″Il Sole――太陽(神の如き速き足)″があるから早く走れたのに、北川はまだなんの能力も発動させてはいない。

「そんな……」

「北川くん、すごい……」

 栞と名雪が呆然と、店内を見回す。

 北川は止まることなく、ひたすらに、縦横無尽に店内を駆け回る。

「……」

 栞は、自分が圧倒的に不利な立場にいることをだんだんと理解していた。栞の″L'Eremita――隠者(何者にも捉われない腕)″は自分に対して作用をもたらすもの。確かに見えない腕で相手を掴むことは出来るかもしれないが、高速で移動し続けて姿が見えない北川に決定的なダメージを与えるどころか、下手をすると自分が大ダメージだ。かといって、″Ruota della Fortuna――運命の輪(全てを狂わす歯車)″を発動させようとした瞬間は、姿を消していてもその空間の歪みは消せない。しかも発動中は自分は無防備。あの高速移動を自分は捉えられない。

 それは、直接の敗因に繋がる。

「……それなら、」

――″La Temperanza――節制(押さえつけて控えよ)″。

 それが、栞の最後の能力。

 どこまでこれで対抗できるか、栞自身まったくわからない。

 それでも、

「やらないよりは、マシです!」

 栞は両腕を前に突き出し、叫ぶ。

「″La Temperanza――節制(押さえつけて控えよ)″!!」

 もし北川が言っていたことが本当ならば、自分はただの兵士――ポーン。それなら、自分はただ前進して敵を倒すだけ!!

 栞は強く思う。

 負けたくない!

 と。

 その瞬間に、あたりの空気が一変した。

「! こ、これって……」

 名雪が驚き、あたりを見回す。

 違和感。

 たしかに、栞が″La Temperanza――節制(押さえつけて控えよ)″を発動させた瞬間にあたり一帯の空気が変わる。

「……まさか」

 北川までもが、走るのをやめ、いまは栞の目の前に姿を現している。

「空気が……」

 栞自身、驚いている。

 まさか自分の能力がここまで作用するとは。

「空気が薄くなってる?」

 名雪は苦しそうに、呻くように言った。

「ま、まだです!」

 栞は北川に近づきながら再び腕を突き出し、北川に向かって″La Temperanza――節制(押さえつけて控えよ)″を発動させる。

「! なっ?」

 自分の身体に起きた異変に、北川は戸惑う。

「走れない――――!?」

 北川は、自身の身体が鎖に縛られたような錯覚に陥っていた。

 相手を押さえつけて、その活動を強制的に控えさせる。

 それが栞の持つ能力、″La Temperanza――節制(押さえつけて控えよ)″だった。

「これなら!」

 勝機を掴んだ栞は、畳み掛けるように能力を使う。

「″Ruota della Fortuna――運命の輪(全てを狂わす歯車)″!」

 北川のいる場所が、大きくぶれる。

 そして、北川自身も――

「え?」

 北川の姿が、また消える。

「そんな! 動きは封じたはず!!」

 栞は北川がいた場所を凝視する。

 空間は歪んだままで、北川の姿だけ消えている。

「…………」

 名雪も愕然とする。

 北川は、名雪の目の前――――

 栞の真後ろにいた。

「俺は騎士――ナイト。Lightning・Knightだ」

 閃光の騎士。

 北川は能力を身体の一部と引き換えに貰い受けたのではなく、自身が、その存在自体がすでに能力なのだ。

 だから、二つ名が能力を現す。

 Lightning・Knight――閃光の騎士。

 それの意味するところは、

「俺は、誰よりも早く」

 北川が跳ぶ。

「光が射すように」

――栞が振り向くと同時に、

「一瞬で」

――名雪が声を上げるよりも早く、

「敵を屠る!!」

 北川は栞ののど元に手刀を突きつけていた。

「勝負――ありだ」

 北川は栞の方を見ようとはしない。いくらいま闘っている相手が自分たちの知っている栞でないとしても、外見は美坂栞そのものなのだ。いま栞を見れば、北川は絶対にその決心が揺らぐ。

「一思いに……ってことはしないんですか?」

 栞はゆっくりと口を開く。

「北川、くん」

 名雪が心配そうに、気遣うような視線を北川に向ける。

「なんで、同じなんだろうな?」

 北川が血を吐くように、辛そうにそれだけを言葉にする。

「それは……」

 栞はゆっくりと目を閉じると、

「それは、守りたいものが一緒だからですよ」

 北川は息を呑む。

 栞はただ、穏やかに眼を閉じている。

「…………。そうか」

「そうですよ」

 栞が頷くのを確かめると、北川は――

「すまん」

「謝らないでください。そんなこというひと――キライです」

 栞を、闘いの盤上から突き落とした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜謝罪〜

 別にネタ切れってわけじゃないですけど、諸事情で当分おやすみさせていただきます。

 とかいって、またひょっこり書いてるかもしれませんが……

 本腰を入れなきゃならないものが出来たので、まことに身勝手ですけどそっちに力を入れさせてもらいます。

 一応、これで折り返しですので……

 次からは、後半戦突入です!!

 

〜訂正〜

 前回の久瀬のセリフで、

「さぁ、兵士がどこまで大臣に食い付けますかな?」

 ってヤツ。

 ビショップは大臣ではなく、僧正ですので……正しくは、

「さぁ、兵士がどこまで僧正に食い付けますかな?」

 です。

 まことにもうしわけない。

 なんとも初歩的なミスです。

 ぶっちゃけ、私も愚弟に指摘されるまで知りませんでした。

 面目ねぇ〜


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