DESTINY

〜ver MAGNUS〜

 
 

『………ライトニング……』

 魔物が放った雷系魔法をまともに食らい、オレはその場に倒れた。

『!!がはッ…』

 体が痺れて言う事を聞かない。そんな中、仲間が次々に殺されていく。

『くっ…』

 そして最後には、自分に剣術を教えてくれた師匠のガレットまでもが、その魔物の手により切り裂かれた。

『せ、先生ーーー!!!』

ドガーーーン!!!

「………?」

 オレ、マグナス・ストラーダは唐突に目覚めた。辺りを見回してみる。ここは森の中だった。

 頭の中を整理しようと試みるが、2秒でやめた。その理由は至って簡単だった。

「…眠い」

 頭上を見上げてみる。太陽の位置からすると、まだ起きるには早すぎるという時間だろう。起きるのも面倒だったので、再び眠りにつく事にした。

「ん?マグナス、起きたのか?お前にしちゃやけに早いな」

 少し離れた所から声がした。目を擦りながらその先を見てみる。

 そこには、今一緒に旅をしているクルト・F・ステファンの姿があった。

「まぁ、あんな爆発音があったらいくらお前でも起きるだろうがな」

「…ばくはつおん?」

 まだ少し眠気も残っていたが、とりあえず体を起こしてみた。

「お前…もしかして気が付かなかったのか?」

 クルトが驚いた様子でオレを見ていた。そう言えば、夢の最後に何か爆発音が聞こえた様な、聞こえなかった様な…

「何か…あったのか?」

「今日の朝飯当番…誰だか知ってるか?」

 質問に対して質問で返された。

「今日?ビットじゃないのか?」

「…雷牙も一緒なんだよ」

 そこまで言われて、ふと嫌な予感が頭をよぎる。すでに目は醒めていた。

「じ、じゃぁ今日の朝飯は…まかさ…」

 恐る恐るクルトに尋ねる。それに対して無言で首を横に振るクルト。オレは急いで寝袋から出て立ちあがった。

「あっちだ」

 クルトが森の先の方を顎で差す。確かにその方向から何やら不気味な異臭が漂って来る。オレは急いでその方向へと走った。

 辿り着いた場所には大小2つの人影があった。その二人の周りの木は焼きついていて、焦げ臭い。その人影の片方、大きい方は黒焦げていた。

「ゴホッゴホッ…!!」

 大きい方が咳き込む。それと同じに口から黒い煙が噴き出している。

「お前…オレがいない間に何をやった?」

 小さい方は、込み上げてくる怒りを隠そうともせずに殺意のニュアンスが含まれている声で、大きい方に訊いた。

「え?いや、別に…」

 小さい方の質問に大きい方は明らかにうろたえながら口ごもる。

「お…お前ら…」

 オレは、やっとのことで声を咽喉の奥から絞り出した。

「…ん?よぉ、マグナス、今日は早いな」

 大きい方がオレに気付き、小さい方から逃げるようにして話し掛けてきた。

 それにしても、クルトと同じ事を言いやがって…

「槍でも降らなきゃいいけどな」

 小さい方が呟く。これはこれで何かムカツクが…

「お前ら、また派手にやったなぁ…」

 いつの間にやらクルトがオレの後ろにいた。

「言っとくが、オレのせいじゃないぞ!!雷牙が…」

「な!?ビット、汚ねぇぞ!!自分だけ逃げようとすんな!!」

 何やら2人で言い合っている。実際にはおそらく小さい方の意見が正しいと思うが…

 大きい方は一応、武闘家で雷牙光、小さい方は外見に似つかず世界最大級の盗賊団の頭をやっているビット・アークレイという奴で、クルトと同様にオレと一緒に旅をしている仲間である。もっとも、そう思っているのは4人の中でオレだけの様だが…

「普通こういうのは全体責任だろ?」

 雷牙がビットに言った。

「それを言うなら連帯責任だ、バカ!!」

 ビットがすかさずつっこむ。ちなみに、今の雷牙のボケは天然である。こいつは本来ツッコミのはずだ。

「そんな事より…今日の朝飯どうするんだよ!!」

 このままだと時間が掛かりそうだったので、とりあえず割って入ってみる。

「いいじゃねぇか、お前は普段から朝飯食ってないんだし…」

 確かにその通りである。昨日までなら今はまだ寝ている時間だ。だが、起きたからには何か食べたい。しかし―

「これから作ってどれだけ時間が掛かる?」

「さて、珍しくマグナスが早起きしたし…もう行くか?」

 予想通りその願いも叶わなかった。しかも無視された…

「うがー!!腹減ったー!!どうにかしろ、朝飯当番!!」

「うるせぇ、朝食飯当番なんかしたことないクセに、文句ばっか言ってんじゃねぇ!!」

 …この一言を言われたらおしまいだった。

「次の町に付くまで我慢しろ!!」

「我慢出来…ん?」

 話の途中である事に気付く。

「今度は何だよ?」

「いや、どっかからうまそうな匂いが…」

 3人の顔がピクッと反応する。やっぱりみんなも腹が減っていたようだ。

「…本当だ…」

「う〜ん…こっちだ!!」

 匂いのする方を指差す。オレはこう言う事には敏感だった。

「行ってみるか?…って、おい!!」

 オレが呼びかけた時にはもう誰もいなかった。

「まったく、しょうがねぇ連中だ…」

 言いながらオレも・・・・・仕方がなく3人の後を追った。

 

「うっひょ〜、すげぇ〜!!」

 3人が声をあげる。その先からは何とも言えないおいしそうな匂いが漂っている。

「何だ何だ?」

 後ろから背伸びをして奥を覗いてみる。ビットの後ろだったのでよく見えた。

 そこで目にした物は何とも美味しそうな"オムレツ"だった。オレの好物の1つでもある。しかも丁度4人分…

「こ、これは…」

 クルトが何やら言いながらそこへと寄って行く。

「どうした?」

 オレの問いかけに耳も傾けず、そこに置いてあった箸を手に取る。そして、そのオムレツのちょうど真ん中辺りに穴をあけた。

「おぉ〜」

 オレたち3人も声をあげながら近づいていく。香ばしい匂いが鼻をくすぐる。湯気の立ち具合からして、作られてからまだそんなに経っていないのだろう。って…

「これって…マズイんじゃねぇか?」

 クルトに言うが何も答えずに一口分のサイズに切って口へと運ぶ。

「おいおい、言ってるそばから何を…」

 って言うかオレってまた無視されたのか?

「う、うまい!!」

 やっと喋った。その手ががたがたと震えているのが分かる。

「まさか、こんな…こんな物を作れる人間がいるとは…」

 …確かにクルトの作る料理はうまい。城で習っていたのかは知らないが、前に自分でも自信があると言っていたし、実際にうまいのも本当だ。そのクルトがここまでうまいと言っているのだから相当な物なのだろう。

「マジ?よっしゃ、ラッキー!!」

 ビットが別の皿を手に取る。それに続いて雷牙も食べ始めた。

「おい、お前ら…これってマズイだろ?」

「そんな事ねぇ、むちゃくちゃうまいぞ!!」

 …意味が違うよ!!

「そうじゃなくて、人の物なんだろ?勝手に食ったりしたら…」

「それなら心配いらねえよ、お前も食え!!」

 ビットが言いながら最後の1つをオレによこした。

「お前もハラ減ってんだろ?お前が食わんとうるさくてしょうがないんだよ!!」

「だから人様の物を勝手に食ったら…」

「その事なら大丈夫だ!!お前が食わんのならオレが食うぞ!!」

「な…!それはダメだ!!…分かったよ、食えばいいんだろ!?」

 なぜ大丈夫なのかは分からないが、ビットに食われるくらいなら自分で食った方がいい。

 このオムレツ、味は本当にうまく、完食するのに5分も掛からなかった。

「ふぅ、食った食った。ところでビット、何で大丈夫なんだ?」

 全部食い終わってから尋ねる。

「あ?何言ってんだ?オレ達は盗賊だぜ。物を盗んで当然だろ?」

 …え?

 一瞬オレの周りを冷たい風がよぎった様な気がした。…ビットを信じたオレが馬鹿だったのかもしれない。

「って言うかオレは盗賊じゃない!!」

 オレがそう叫んだ時、なんとビットは次の作業へと取り掛かかっていた。

「ええっと…」

 いつから在ったのか近くに落ちていたバッグの中へと手を入れている。明らかにオレ達の物じゃなかった。と言うかこのバッグやさっきのオムレツは誰の物なんだ?

「…何やってんだ?」

 答えは分かっていたが、確認の為に訊いてみる。

「見て分かんねぇのか?盗賊の仕事だよ!!」

 …予想的中(嬉しくないが)。

「これ以上悪事を増やすな!!」

「うるせぇな!!こんな所に置いておく方が悪いんだ!!」

 …そう言われると、確かに何て無用心な…

「………」

 …ん?

 どこからか声が聞こえてきた。そしてだんだん近づいてくる。

「…ん?…お前ら誰だ?」

 し、しまった!!

 どうやらビットと漫才をしているうちにこれらの持ち主が帰って来た様だ。オレもビットも夢中になっていて気付かなかったらしい。…それにしても、雷牙はともかくクルトなら気付いていただろうに何で…

「おい、人が来たぞ!!」

 …遅ぇよ!!

 顔が微妙に笑っている所を見ると、気付いてて言わなかったらしい。

 森の奥から来た男は、赤髪で、服の布が胸の部分にしかないという寒そうだがなかなかカッコイイ格好をしていた。

「い、いや…オレ達は別に怪しい者じゃなくて…なぁ?」

 しどろもどろに答えながら、1番近くにいたビットに同感を求める。

 が、

「何だよ、ろくな物が入ってねぇな…」

 まだ作業の途中だった。しかも中の物を散らかして…

「………」

 向こうも呆れている。

「どうしたんだ、リッド?」

 奥から更に人がやって来た。男の人が1人に女の人が2人…いや、片方は女の子の方が合ってるか?

 あと変な青い動物がいる。この事については犬じゃなかったら別にどうでもいい事だが。

「あーッ!!私達のバッグ!!」

「バイバ!!オムレツが無くなってるよぉ!!」

 …何だか騒がしい人達だ。さっきのオムレツの数からして、これで全員だろう。

「人のバッグをあさって、朝食も勝手に食べちゃうなんて…。さてはあなた達泥棒ね!?」

 女の人が言いながらかまえる。その構えから、武闘家だと言うことが分かった。それと同時にかなりの実力を持っているという事も…

「いや、違うんです。これは…」

 元々悪いのはこちら側だが、謝って許してもらえそうな雰囲気ではなかった。精一杯言い訳を考える。

 …って何でオレだけこんなに必死になってるんだ?お前ら3人が原因作ったんだろ?せめてフォローしてくれよ。

「違う!!オレ達はそんなんじゃねぇ!!」

 そう言ったのは何と雷牙だった。…もしかしてこいつって普段は分からないが、こういう時にリーダー格があって頼りになる奴なんじゃ…

「オレ達は泥棒なんかじゃねぇ、盗族だ!!」

 …前言撤回。こいつを信じたオレが馬鹿だった。

 しかも字を間違えてるし…

「一緒じゃないの!!もう許さないんだから!!」

 本気で怒っている。今にも攻撃してきそうな雰囲気だ。…恐い。

「トウゾクって、なにか?」

 …こっちの女の子はまだかわいいものだった。

「まぁいいじゃないか、ファラ。無用心にしていたこっちも悪いんだし」

 最後の1人で青い髪で背が高く、優男風な男の人が止めに入ってくれた。お、兄ちゃん、話が分かるね。この人となら気が合いそうな気がする。

 その優男オレに向かって話しかけてきた。

「時にお嬢さん…」

 ぷちっ!!

 俺の中で何かが切れた。

「ファイア!!」

 気が付いたときには、オレは右手を前に出し、炎系属性の魔法、"ファイア"を放っていた。

 オレは女と間違えられるという事が大っ嫌いだった(まぁよく言われるが)。今のは反射的に…つい…

「ぐわぁ〜!!」

「キール!!」

 キールと呼ばれた兄ちゃんはオレの"ファイア"をもろに食らって倒れていた。

「あ、あのさ…」

 オレはクルトとビットに助けを求めるが、

「はぁ…ったく何やってんだよ」

 と、クルト。

「火に油を注ぎやがって」

 と、ビット。

 ゴフッ!!助けを求めたのに逆に突き放された。(…まぁ期待はしてなかったけど…)

「人の物を勝手に盗った上に攻撃してくるなんて…もう許さない!!」

 さっきファラと呼ばれていた女のかまえが変わる。

「いや、今のはその兄ちゃんがオレの事を女だと言ったから…」

 オレは弁解を試みるが、

「問答無用!!」

 やはり、無駄だった。

「双撞掌底破!!」

 何か叫んだと思ったら、彼女の手から何やら光の塊の様な物が…って何ィー!!

「ちょっと待て、飛び道具なんてありか!?」

 自分の事を棚に上げてそんな事を言ってみたりする。

 間一髪でその光の塊を横へ飛び跳ねる様にして避けると、その光の塊は、さっきまでオレがいた場所を通り、その後ろにあった大岩を木っ端微塵に砕いた。

「あぁ〜外れた!!」

 向こうでは残念がっている。どうやら本気でオレ達を殺す気らしい。

「マ、マジか?」

 もはや小石の集まりになった大岩を見て、オレはこう呟く事しか出来なかった…。

 

To Be Continued

 

  

なかがき

B「マグナスにかわって、このビットが書こう」

B「まったく・・・マグナスはバカか? 食い意地だけはりやがって・・・」

?「ファイヤーボール!!!」

 ちゅごーん!!

M「お前らだろうが!!」

B「つ・・・、てめぇ!何しやがる!?」

M「俺はなにもしてねぇ!!」

B「ファイヤ撃ち込んだだろうが!?」

M「う・・・、そ、それは・・・(汗)」

B「ヤッパリお前がワリィんだろ?」

M「ちーがーうー!!」

B「ちがわねぇ!」

M「うーーーー!!」

B「バカか?」

M「バカって言うなーーー!!」

   ちゅどーーーーん!!

C「バカはほっといて、どうもクルトです」

C「今回はこんな形で終わったわけですが・・・もう無茶苦茶です」

C「エターニアキャラが出てきて、もう何が何だか・・・」

C「ま、なんとかなるでしょう」

C「それではまた♪」

B&M「「俺らを無視するなーーーー!!!」」

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