超絶神話―暫定版―

その一 〜おまんはほんまに神様か?〜

 

 

 

――君には未来があるだろう。

――君には過去もあるだろう。

――君にある未来は数多にも広がって

――君に残された過去は、やがて続く未来へと連鎖する

――未来は一つじゃない

――過去も一つじゃない

――その過去のお話を未来へと託す

――これは、誰にも語られることのなかった話

――歴史と時に隠された、伝説

――それを、今

――あなたに――

 

 ・・・って書くとカッコイイな」

俺はそう思いながら、ちゃちゃっと筆を進めた。

さらさらと、紙の上に文字が書かれていく。

その滑らかな筆の動きに反して、紙の上にのたくった文字は人類の言葉とは思えなかった。

「豊呂(ほうろ)。それじゃあ誰も読めませんよ」

志漏(しろう)による的確なつっこみが入る。

だがそんな声ぐらいでは、豊呂は全くくじけない。

「ふん、神格文字で書いてるんだ、邪魔しないでくれ」

「そうかなぁ〜。私には『日本語のなりそこないのぐにゃぐにゃ』にしか見えないんだけどぉん」

「ああ、私もそう思う。君の言うとおりだ、夢流(ゆめる)」

「えへへぇ。ほめられたちゃった」

照れた笑いをこぼす夢流。

ふるふるふる。豊呂の方が小刻みに震えた。

ぱき。

豊呂の持っていた筆が、音をたてて折れた。もちろん、豊呂が折ったのだ。

「あっ、もったいな〜いっ」

「750円の損だ」

今月ピンチなのにな、と。志漏は感慨深げに呟いた。

――我慢の限界だった。

「おい、こらっ。てめえらそれでも俺の天使としての自覚があるのかっ!」

があっ、と大きく口を開けて咆哮する豊呂。

だが、それに対峙する二人の反応は実に冷静だった。

「ええっ。ほーちゃんにそれだけはいわれたくないよぉ」

豊呂のことを「ほーちゃん」と呼びつつ、夢流。

「確かに。マスターのほうが神様らしくない」

無表情にそれに頷く志漏。

「こおおおおおおおおんのやろおぉぉぉぉぉっっっ!!」

どがっ。

その態度により激昂する豊呂。右拳がうなりをあげる。

ぶんっ。

さっ。「あっ、ほーちゃんが怒った」

ぶんっ。

さっ。「いつものことだ」

ぶんっぶんっ。

すっすっ。「ん〜。そうかもしんない」

ぶんっぶんっ。

すっすっ。「今月だけで、23回怒っている。いささか健康面が心配なのだが」

はーっ。はーっ。

「それなら大丈夫だよぉん」

「くっそぉ」

ぶんっ。

さっ。「ほう、何故だ?」

ばたっ。

「だって、ほーちゃんは神様だし、死んでも死なないよぉん」

名前、豊呂。職業、神様。

それが、二人の子供に対して怒り狂っている男の正体だった。

二人の子供とはいっても、もちろんただの子供ではない。

二人は神に使える天使であり、志漏が闇を、夢流が光を司っている。

ちなみに、志漏が男で。夢流が女である。

いや、そんなことはどうでもいいか。

 とにかくここは神様の家。

神様である豊呂は、怒りつかれて床にへばりついた。

「くっそぉ。俺様の右ストレートが何故当たらんっ」

ここしばらく運動をしてないせいか、体力がない豊呂。

「だって、私たち実体化してないよぉん」

「ああ、絶対に当たらない」

「・・・それを早く言え」

「聞かれてないので」

「うんうんっ、確かに言ってなかった〜」

「・・・おまえら、悪魔だ」

「いえ、天使です」

冷静に嫌味を跳ね返す志漏。

「ところで、マスター」

「・・・なんだ?」

ようやく復活したのか、むくりと起き上がってが答える豊呂。

「もうすぐおやつの時間だよ〜ん」

「違う」

一秒と間を空けずに、否定する志漏。

「先ほどは何をかかれていたのですか?」

「あー。さっきにあれか、あれは俺なりの神話を書こうかと思ったんだ」

「ええっ。あれって文字だったのっ?」

「文字だったのっ?って、・・・文字じゃなかったら何に見えるんだよ」

頭を抑えつつ豊呂が聞く。

それに対して、夢流はたからかに宣言した。

「ん〜とっ。あれはど〜みても『日本語のなりそこないのぐにゃぐにゃ』でしょん?」

「・・・夢流」

その言葉を聞いて、志漏がフォローに入る。

「世の中には言っていい事と悪いことがある」

フォローになっていなかった。

「・・・俺には本は書けないようだ」

ふっ、と遠くを見て豊呂は呟く。

「ええっ今ごろ気づいたのっ?」驚きを隠せない夢流。

「自分ではなかなか気づかないものだ」何かを納得する志漏。

「殺すぞ、てめえら」神様と思えない発言をする豊呂。

場がぴりっと張り詰めた。一触即発。

まさにその状況だった。

お互いに相手を伺いつつ、チャンスを待つ。

時が、刻々と流れた。

ぼ〜ん。ぼ〜ん。ぼ〜ん。壁時計が鳴る。現在3時。

「「「おやつだ」」」

全員の声は見事にはもっていた。

そして彼らはおやつの支度をしに、台所へと向かったのであった。

豊呂。志漏。夢流。

彼らによって、地球の平和は保たれている。

――ということを知ったら、全員地球を去っていくことだろう。

彼らの信用度などゼロに等しかった。

今日も一日。平和な日常が続いていく。

 

END

 

 

 

平和なあとがき

 

 いや、はや。ども。霧月です。

えっ、このド阿呆な小説は何かって?もちろん、ド馬鹿な小説です(死

いや、適当に書いてみようと思ったらこんなのができて。しかも続く?かも。

まあ、技法を試したり、新しい書き方試すにはちょうどいいかも。

感想。あればください。

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