TALES OF PHANTASIA

〜 過去と未来と現在と 〜

前編

 

 

「突然だけど、お金がすっごく無い」

 この小説第一声目を発したのは主人公『格闘剣士、アミス・アルベイン』名前からも解るように『時空剣士、クレス・アルベイン』の子孫である、といっても孫にあたるのだが。

「え?な、なにいきなり?本当に突然すぎ」

 アミスの突然の言い出しにろくな反応もできなかったのは『魔術弓士、チェスア・バークライト』、『妖精弓の射手、チェスター・バークライト』の孫である。

「なにって聞かれても・・・・、そのまんま。だって三日間連続野宿(今だ記録更新中)、一日一回の食事(これはこれで慣れてしまったが)、これじゃ体が持たないわ(けっこうもっているけど)、そこでいい知らせがきたの、まさに捨てる神あるなら拾う神ありって所ねこれ見て」

 アミスが持っていた紙を広げると、そこには魔物退治の依頼が書いてあった。

『森の魔物が村を襲い皆が苦しんでいます、退治してくれた方には10万ガルドを差し上げます。    ユークッリド王都』と書いてあった、チェスアがゆっくりその紙を読み終えると。

「10万ガルド!?」

 と思わず大声で叫んでしまった。

 それもそうだ、この二人の貧乏旅に10万ガルドなどという大金は全く無縁だったのだ。

「やっと、やっと、このロングソードともおさらばできる(泣)」

 アミスは瞳を潤ませながら言っている、この二人はアミスが16、チェスアが17の時に旅に出て約一年になる、その一年間ずっと同じ武器なのだ(チェスアの矢は変えているが)アミスのロングソードは磨ぎ過ぎてレイピアほどの細さになっている。

「でも、ユークッリド王都って何処にあるんだ?」

 チェスアは地理に弱い、いやまったく持ってダメと言っても過言ではない。

「ユークリッド王都は、レアバードを発明したユークッリド国際アカデミーがある所で、時空の六勇者である、クラース・F・レスター先生の住んでいた所でもあるのよ、わかった?」

 アミスは『時空の六勇者』の中でもクラースに憧れていた、もちろん祖父、

 祖母であるクレスやミントも好きだがクラースの学者としての姿勢や精神、考え方に憧れている。

「そういえば、そんなことを、ばあ・・・・、じゃなかったアーチェさんが言っていた気もしないでもない」

 チェスアの祖母は『精霊の森の魔女、アーチェ・クライン(旧姓)』である、まあ祖母といってもハーフエルフのせいか未だに20代前半にしか見えない、そのせいもあってか自分を「ばあさん」などの呼び方をされることを極端に嫌がる、この前など気が付いた時にはもうチェスアは黒焦げにされていた。

「さてっと、長話しちゃったわね、さっそく行きましょうか」

そして次の日      

 城へ行き門番に「この紙を見て来た者なんのですが・・・・」と言うと快く迎え入れてくれ、今日は疲れているだろうという事で宿まで用意してもらい、アミスは何度もタダということを確認しその申し出を受け入れた。

「ひ、久しぶりにベッドで寝られる、お風呂に入れる、夕飯が食べられる(泣)」 アミスとチェスアは久しぶりに人間らしい夜を向かえゆっくりと体を休める事ができた。

 次の早朝には森の中に入っていった。

「まったく、これじゃキリが無いわね」

 アミスは剣に付いた魔物の血払いながら行った。案内されたこの森は魔物の巣と化していたここには『マナ』が異常なまでにあり魔物が住むのにこれほどよい場所は無いのだが、王都に来る魔物は一匹でその魔物はこの森の最深部に居るのを兵士が見ている。

「けど、お目当ての奴はもうすぐそこだぜ」

 そう、アミス達の前に奴はいた、人の形をしていながら背には三対の黒き翼、凶器に満ちた毒々しい紅の瞳、それは恐ろしさと共に不思議な美しさであった。

「何だお前たちは」

 その魔物に少し見とれていたアミスはビクッとなり。

「王都を襲っているのはあなたなの?」

 アミスは言葉を発してから(しまった)と思った、なんて場違いな質問をしてしまったんだ、こいつがやったっていうのは、ほとんど分かっているのに。

「だとしたらどうする?」

「「倒す!!」」

 二人は叫ぶと同時に構え、アミスが先に仕掛ける。

「新・アルベイン流、魔人四重奏」

 声と共にアミスが下段の構えから上へ振り上げると共に四つの衝撃波が敵に襲い掛かる。

「・・・・・・グレイブ」

 アミスの衝撃波は石柱に阻まれ敵に届くことは無かった。

「そう言えば名乗ってなかったわね私はアミス、アミス・アルベイン、で

 こっちの弓使いがチェスア・バークライト、あんたの名は?」

「・・・・ロフィスと呼ばれている」

「へ〜、ロフィスか、なんで村を襲うの?」

「ふ、時間稼ぎでもしているつもりか?」

 アミスの顔が少しこわばる、ロフィスの言ったとおりこれはチェスアが呪文の詠唱時間を稼ぐための物だ。

「そのとおりだよ!!アイストルネードォ!!」

 チェスアはもう詠唱を終えており、冷気のこもった竜巻、『アイストルネード』をロフィスに向けて放った。

「天光満・・・・、・・・門開く・・・に汝・・・、出でよ神・・・雷」

 しかし、なんとロフィスはチェスアの放った『アイストルネード』を食らいながらも呪文の詠唱をしている。

「あ、あの詠唱は!?くっ、神から放たれし聖なる光、我らを守る盾と生らん」

「インデグニション」 「バリアー」

 激しい落雷が二人に襲い掛かり焼き焦がす、がチェスアは火傷と傷が少しあるだけであった。

「た、助かった?そうかアミスの法術か!?」

 『アイストルネード』に力を送っていたチェスアがまともに『インデグニション』など食らえばひとたまりも無かっただろう、しかし、『インデグニション』ほどの大魔術をここまで押さえ込んだアミスが無事である訳が無かった。

「アミス無事か!?」

「ハァ、ハァ、これが無事に見える?」

 答えたアミスは、思ったより重傷で、地に膝を付き肩で息をしている、が

 そんなアミスを見てチェスアは。「喋れるうちは大丈夫だ」などと言って答えた。

「ま、それもそうね、チェスア時間稼ぎ、できる?」

「わかんねぇけど、多分無理!!」

 正直な感想だった、『インデグニション』などという大技を使う相手に自分一人で時間稼ぎをするなどという事は無謀以外のなんでもなかった。

 しかし、「チェスア、無理でもやれ!!」などと言ったアミスはもう詠唱に入ってしまった。

「わかったよ、できる限りの事はしてやらぁ。自然界を司とる四つの欠片、我が手に集いて我が敵を打て!!・・・・テトラ・スペルッ!!」

 チェスアが呪文を唱え四つの呪文が発生しロフィスに襲い掛かる。

 ロフィスは自然界の火、水(氷)、雷、地の力をまともに食らった、食らったはずなのだ、がロフィスの拳がチェスアの腹部にのめり込み吹き飛ばす。それを見たアミスがチェスアの名を叫ぶ。

「いいから術に集中しろ!!お前が俺に任せたんだろ!!」

 チェスアからの檄が飛び術に集中する。

「・・・・我等を癒したまえ、ナース」

 チェスアとアミスの前に法術師の証である紫の十字架を刻んだ帽子を被り、背中には白き翼を宿した者が現れる。手にした小箱が開かれるとその中から暖かい風が流れ出してきて二人を包み癒していった、と同時に二人の猛攻が始まる。

「疾風(×4)」「鳳凰天駆!!」

 チェスアは通常の『疾風』の4倍の数の弓を放ちロフィスの隙を作り、そこにアミスが『鳳凰天駆』で突っ込む、さらに、

「緋凰絶炎翔!!」

 重ね技を放つ、そしてロフィスも負けてはいない、素早くアミスの懐に入り込み蹴りで吹き飛ばした後、さらに連続して衝撃波を叩き込む。

「まだまだー!!新・アルベイン流奥義、獅子裂光破ッ!!」

 アミスの剣は空を切り、変わりに闘気の塊である光り輝く獅子が放たれ、ロフィスに襲い掛かった。

「ぐおぁぁぁぁぁぁぁ!!こ、この人間風情がぁぁぁぁ!!」

「人にも意地って物が有るんだよ。これで最後だ!!落下劫炎弓」

 この技はチェスアの弓術と魔術を合わせた物で、この場合矢に『エクスプロード』を込めたのだ、その矢は正確にロフィスに突き刺さり炎で包み込んだ、

「今だ!!」ロフィスが炎に巻かれた隙を突きアミスが素早く炎の中に飛びこみ、ロフィスの首を切り落とす。

そして戦いは終った

「手強かったな、インデグニション食らった時なんてもう駄目かと思ったぜ」

「とっさの判断だったけどうまく押さえ込めて良かったわね」

 アミスが精力剤である『グミ』を食べながら言うと、何か見つけ拾い上げる。

 それはビー玉の様でもあったがどこか違う、玉は蒼く光、吸い込まれそうなほど綺麗だった。アミスがその玉に見取れていると。

「おーい、アミス行くぞー」

 チェスアが『ウイング』から『レアバード』の解凍を解きのり込んでいる、

 アミスもすぐ乗り込みハンドルを握る、アミス達の『レアバード』は二人乗りでハンドルを握るのがアミス、後ろがチェスアである、前に一度チェスアにハンドルを握らせたことがあるのだが、『フレイランド』へ行こうとしたのだが、『トール遺跡』に着いてしまった・・・・、それ以来チェスアにハンドルを握らせたことは無い。王都へ戻りロフィスを退治したことを話すと王は大変喜び10万ガルドは勿論、宿まで取ってくれた、がアミスはその申し出を「急いでいるから」と断った。

「別に急いでなかったんだろ、何で断ったんだ?」

 『レアバード』に乗りながらチェスアが訊ねて来る、アミスが断った時には何も言わなかったくせに後からグチグチ言ってくるので堪らない。

「・・・・呼ばれたから」

 アミス冗談っぽく笑っていった。

「・・・・。そっかー、呼ばれちゃしかた無いな、ははははは・・・・」

 チェスアもその冗談に付き合うように笑って答えた。

「・・・・。本当に呼ばれた気がしたの、誰かは解らないけど」

 アミスの顔が急に真顔になった。

 二人が『レアバード』から降りたのは『精霊の森』である、そこには大いなる聖樹、『ユグドラシル』があり、その根より少し離れた場所に墓標が三つある、『クレス・アルベイン』、『ミント・アドネード』、『チェスター・バークライト』

 二人はそれぞれの祈りを捧げている、二人がここに来るのは旅が始まって初めてのことだったのでこれまでの旅のことでも思っているかもしれない。

 そして二人が祈り続けどれだけの時間が経っただろう、不意にチェスアが。

「そういえばクレスさんの墓のこれ、何だろ?」

 クレスの墓には窪みがありそれは何か意味ありげなのだ、大体この墓の設計したのがクレスという時点で何かあると解りそうな物である。

「この窪みって、さっきの玉と大きさが同じ位じゃないか?」

 チェスアの問いに答えるようにアミスは先の戦闘での戦利品(?)を取り出すと吸い込まれる用に墓の窪みにはめる、とその瞬間、玉から強烈な光が飛び出し一点を示した。

「くッ!!なんだこの光は!?」

 光に驚いたチェスアはパニック状態なのにもかかわらずアミスは一向に落ち着いており、光が指した方へ歩いていってしまうのでチェスアもついて行く。

「・・・・呼んでいる、誰なの?」

 光は森の奥深くにまで続いていた、そして、その光景にアミスは絶句した、それは本などでしか見たことの無い美しい光景だった、そこだけを強調するように森の枝の間から光が差し込み石段に刺さった一本の剣を照らしている。

 アミスがその剣に吸い込まれていくように剣に近づく、まるでその剣に魅入られたかのように、そして剣の柄を手に取った瞬間、二人は光に包まれたと思うと、その森に二人の姿は無くなっていた。

 

 

 

あとがき&注意事項

 早くも(?)第二作目完成!!今度は、初めての前編、後編(予定)の作品です。

 あ、注意事項と言うのは、この作品は『パクリでは無い!!』と言う事です、

 遥蒼と同じ題材で書いてみよう、って事になったんです。だからパクリではないのです、本当です!!あともう一つ(予定っていうのは)中編が入ってくるかもしれないということです。

 でも、これの後編(中編)は、もしかしたら年明けまで出ないかもしれません、神をも恐れぬ行為とはまさにこの事かもしれませんが、その時は。

 小説、TALES OF PHANTASIA〜語られざる歴史〜でも読んで気長に待っていてください、フフフフフ・・・・なぜ上の作品かと言うのは後編でのお楽しみという事で・・・・。話を少し戻してなぜ年明けまで待って欲しいかというと、今、〜すずの鈴〜の続編を書き上げようとしているのです。それに重なり今、スタンプ!!じゃ無かったスランプ!!なのです、キャラが動かないの、なんのって、アミスとチェスアは消えてしまうし、すずは「翔が帰ってくるのを待っている」ので、翔を無理やり起こして活躍(?)させています。

 では、また次の作品でお会いしましょう。

 

 最後になりましたが乱筆乱文をお許しください。

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