「―――化け物め」

 血だらけの俺は奴を睨み付けながら言った。

「どっちが……」

 奴の左腕は半分以上無くなっている。

 俺が切断したからだ。

「クッ…、計算外だよこんな所に『直死の魔眼』の持ち主がいるなんてな。しかも、ミスブルーの加護まで受けているとは……」

 ミスブルー……?ああ、先生の事か。そういえばアルクェイドも先生の事をブルーって呼んでいたしな。

「だが、弱点はある……。はあぁ!!」

 奴は物凄い速さで俺に迫ってくる。

 だが……、俺は動かなくていい。間合いは奴が縮めてくれる。

 懐に入れば俺は奴の点を突けばいいだけだから。

 しかし、それが甘かった。

 奴は俺が突こうとした点を体をくねらせ肩と腕でかばう。

 そのとき飛び散った奴の血が俺の眼に入り俺は一瞬視力を失ってしまう。

「それがお前の弱点だ……、眼が見えなければ死が視えない。それで、お前はただの人間だ!!」

 

 ―――ブシュッ―――

 

 そんな冗談みたいな音をだてながら俺の腹が奴の腕で貫かれる。

 

 

「ハア、ハア、ハア……まだ生きているか……。グハァ!!……今ここで力を使いすぎるわけにはいかんな」

 そう言って奴の気配が消える。そして俺の意識も消えていく……。

 

月姫

第一ノ夜  〜目覚めの夜〜 

 

 

 ―――そして―――

 

「まったく、遠野君にも困ったものです。

 せっかく秋葉さんに携帯を買ってもらったのならちゃんと持っていなければ意味が無いじゃないですか」

 シエルが不満を漏らしながら路地裏を歩いている。これはあの『ミハイル・ロア・バルダムヨォン』の後始末みたいなものである。

「『弓』よ……。一人でブツブツ言っていると危ない人に思われるぞ」

 周りからシエルにしか聞こえない様な小さな声で話し掛けてきた。

「別にいいじゃないですか、誰が聞いているでもなし。

 それに私なんてあなたに比べれば安全そのものですよ。それに、私の事はシエルと呼びなさいと言っているでしょう」

 と、そんな時二人は空を飛ぶ人間を見た。

「シエル……。人間って空飛べたか?」

「そ、そんなわけ無いでしょう!! とにかく―――」

 追いましょう。と言おうとしだが、今飛んできた方向は公園。そして、シエルの知り合いには夜公園に行ってよい事があった試しがほとんど無い人がいる。しかもその人に連絡が取れないと来ている。

「レクス、奴を追ってください。私は公園に行きます」

 レスクと呼ばれた男は軽く頷くと空を飛んでいた人間を追った。

 

 

(どうか、思い過ごしであって下さい)

 シエルはそんな事を思いながら公園の中へ入った。

 そして……、一番見たくない光景を見てしまった。

「と、遠野君ッ!!」

 そこには遠野志貴が血の水溜りの中心に倒れていた。

「う……、ぐぅ……」

 まだ生きている。それがシエル喜ばせた。

 そしてシエルは志貴を注意を払いながら担ぎ、自分のアパートへ運んだ。

 

 

 コンコンと、ノックの音。

「俺だ、入るぞ」

 シエルの部屋に入ってきたのはレクスである。

「すまない、奴の居所は解らなかった。もしかしたら奴『固有結界』を使うのかも知れん。それと、志貴の調子はどうだ?」

 レスクは奴を追ったが巻かれてしまい、今度は居所を探していたのだが見つからなかったとの事だ。

「腹部の穴はアルクエイドの血の助けもあってもうそろそろ塞がります。ただ、あの出血量です、とてもですが血液が足りません」

 志貴は穏やかに眠っているがその顔色は真っ青で眼が覚めても体を起こす事はおろか、腕を動かす事すら苦痛だろう。

「遠野の家に電話する。傷を塞ぐという事関しては魔術の方が上だが、身体を癒す事に関しては医学のほうが上だからな」

 シエルはずっと志貴の方を見ながら頷く。

 たぶん自分の事を攻めているのだろう、何故自分は側に居なかったのかと。

 その姿に居た堪れなくなり、レクスは遠野の家に電話をかけた。

『プルルルルル―――ガチャ。はい、遠野です』

 朝の四時近くだと言うのに数回目のコールで人が出た。

「朝早くにすまない、遠野秋葉に変わってくれないか?」

『失礼ですが、お名前は?』

「教会の関係者と言えば解る筈だが」

『ああ、シエルさんのお知り合いですか?』

「そうだ、すまないが急ぎの用なんだ」

『秋葉様はまだお休みなので私がご用件をお聞きしますが』

 レクスは少し考えたが……。

「なら、医療に詳しい人に事情を話したい」

『なら、やはり私がお聞きします』

 どうやら、話は早そうだ。

「遠野志貴が昨晩重傷の状態で見つかりこちらで保護している。出来るだけ早く車などで迎えにきて欲しい」

 そう言った瞬間受話器の向こうから息を呑むのが解った。

『解りました。今からそちらに向かいます、病院へは見せてくれたんですか?』

「いや、見せてない。夜明け前だったし、どうやっても常人が出来る怪我ではないんでね」

『そうですか、二十分位したらそちらに着くと思いますのでそれまで志貴さんをお願いします』

「了解した」

 

 

 あの会話の約二十分後遠野家の車が来た。

 同行して来た秋葉も最初は食って掛かってきたものの少々の事情を説明すると少しは大人しくなり本当に志貴を心配そうに見つめていた。秋葉に琥珀と呼ばれた着物の少女はテキパキと志貴の様子を見て薬箱から取り出した輸血用パックを取り出し、レクスにこれから志貴を運ぶから輸血用パックを高い所で持っていてくださいと言って渡し輸血をしていた。

「シエル先輩、それと見ず知らずの方、先の話また今度詳しく聞かせてください。それでは」

 そう言って秋葉達は去っていった。

 

 

 ――――――あれから二日後――――――

 

「では、詳しく話してもらえませんか? あの夜の事」

 今シエル達は遠野家に来ている。あれから志貴は起きていない。

「そうだな、それは俺から説明しよう」

 そう言ってレクスが話し出そうとしたが……。

「申し訳ありませんが名前をおっしゃってくれませんか?あなたは私の事を知っているみたいですけど私はあなたの名前さえ知りません」

「え?ああ、それはすまなかった。俺の名前はレスク、シエルと同じく教会のものだ。それじゃあ、志貴を見つけた夜の事を話そう。

 俺とシエルは『ミハイル・ロア・バルダムヨォン』の後始末をしていた。まあ、秋葉達から見たらあれは『遠野四季』だったかな。そいつが残していった吸血鬼の後始末みたいなものだな」

 秋葉の表情に少し陰がさす。まあ、自分の実の兄が犯した事の後始末を他人がやっていたのだ、秋葉の性格からしても複雑なのだろう。

「そして、俺達は吸血鬼らしき奴を見たから追おうとしたがシエルは公園に行き志貴を見つけた……。

 と、こんな所だな」

 レスクは自分が知っている全てを話すと琥珀が用意してくれたコーヒーを一口飲んだ。

「それではシエル先輩、あなたは如何して公園に向かわれたのですか?まるで兄さんが居るのを知っていたような感じですかど……」

 秋葉はじっとシエルと見る、と言うより睨んでいる。

「説明するには不十分かもしれませんがただの予感ですね。遠野君は夜の公園に居て良い事が起きた試しが殆どありません、それで奴が飛んできた方向が公園の方からでしたのでもしかしてと、思ってしまったのです」

 秋葉はそれでも少し納得のいかない様子だったが、自分を落ち着かせるように紅茶を一口飲んだ。

 と、琥珀も入れて四人が黙ってしまったのを見計らうように声が聞こえてきた。

「おはよう」

 志貴は何も無かったように挨拶をした。

「なっ、おはようじゃありません!!」

 そののほほんとしている志貴を見た瞬間秋葉が食って掛かった。

「秋葉、昼近くに起きたからってそんなに怒らなくてもいいだろ?」

「わ、私はそんな事で怒っているのではありません!!

 兄さんはつい三日前に死にかけていたんですよ、大人しく自分の部屋で横になっていて下さい!!」

「ありがとう、心配してくれて。でも、大丈夫だから」

 そう言って志貴は秋葉の頭に手を置き小さい子供をあやす様に頭を撫でる。と、それまで烈火の如く怒っていた秋葉が。

「だから……その……兄さんはずくそう言って……ブツブツブツブツブツブツブツ」

 とっても大人しくなってしまった。

「あの、志貴さん翡翠ちゃんはどうしていますか?志貴さんの看病をしてくれて居たはずなんですけど?」

 琥珀が秋葉の様子を少し可笑しそうに笑いながら志貴に尋ねる。

「ああ、翡翠は熱があったみたいだから部屋に行って休んでたほうがいいって言っておきました」

 

 ――――――その時の状況――――――

 

「う……、んん……」

 目を覚ました。今は何時ごろなのだをうか?

「お目覚めになりましたか志貴様?」

 何時もの様に翡翠が居た。俺は身体を起こし、翡翠に挨拶をする。

「?、なにかよい夢でも見れたのですか?」

「え?どうして?」

 翡翠は少し戸惑いながら。

「志貴様がとても優しい笑顔をしていましたので……」

 俺は少し考えた後素直に言うことに居した。

「いや、俺が目を覚ましたら翡翠が居てくれる……。

 何時の間にか当たり前の事になっているけど、改めて考えるとこんなに嬉しい事は無いなと思ってね」

 それを聞いた翡翠は顔を真っ赤にして俯いてしまった。

 志貴はそんな翡翠に近寄り翡翠の顔に息がかかる位顔を近づけてきた。

 もうそれだけで翡翠の顔は火が出そうなほどを真っ赤にした。

 志貴は翡翠の前髪を上げて自分の額と翡翠の額をくっ付ける事数秒。

「やっぱり……、翡翠熱があるんじゃないか? 休んでいた方がいいぞ」

 そう言って志貴は秋葉達の所へ行った。

 

 ――――――状況説明終わり――――――

 

 たぶん翡翠は今でも固まったままだろう。

 その事を知らない琥珀は。

「そうなんですか、翡翠ちゃんがんばって志貴さんの看病してましたからね」

 などと言っている。と、そんなまったりモードが続いていると。

「志貴ー!! 大丈夫ー!?」

 後ろからアルクェイドが志貴に向かって飛びついてきた。

「ああ、大丈夫だから飛びつくな」

「あれ〜? なんか今日の志貴反応薄いなあ」

 言いつつまだ離れないアルクェイドを攻め立てるようにシエルが立ち上げり。

「この……、アーパー吸血鬼!! 遠野君は起きてきたばかりなんですよ、少しは気を使いなさい!!」

 シエルが怒鳴る。まさに一触即発の雰囲気を一人でかもし出していた。

「ああ、そう言えば聞きたかったんだけどよくシエルや志貴が私の事『アーパー娘』とか『アーパー吸血鬼』とか言うけどその『アーパー』ってどういう意味?」

 ―――それは作者も聞きたい。

 その言葉を聞いた瞬間志貴とシエルは固まった。と、同時にさっきまでの険悪な空気が無くなった。

「そ……、そんな作者も知らない事聞かれても答えられるわけ無いじゃないですか!!」

 志貴も頷く。

「なによ〜、知らないなら言わないでよ。それにこれはこの作者にしては珍しくシリアスでいきたいって言ってるんだから」

「だったらお前もそんな事を言い出すな」

 

 ――――――バァンッ!!――――――

 

「いい加減話を戻しますよ」

 秋葉が思いっきり机を叩き、髪を紅くして怒っている。

 

「「「……ごめんなさい」」」

 

 さすがに志貴、シエル、アルクェイドの三人でも怖かったりらしい。

「はあ、話を元に戻そう。志貴は何故あの公園にいたんだ?」

 レスクはあくまで冷静に志貴に尋ねる。

「ああ、最近何人かの行方不明者が出ている……。それが気になってな、調べていたんだ」

「志貴……、それは教会の仕事だ」

 レスクは自ら尋ねたにもかかわらず志貴の答えた答えを否定するような事を言ってくる。

「じゃあ、教会の人間は一個人の行動を制限できるほど偉いのか?」

 志貴は少しわざとらしく肩を竦めて見せた、志貴らしからぬ行動だ。

「なら、お前は今ここには居ない事になるぞ。俺達が治療したからお前はここに居られるんだ」

 レスクはわざと恩着せがましく言った。これからの志貴の行動を制限するために……。

 が、志貴はそんな事は知った事ではないと言った感じで不敵に笑う。

「俺ならあんなへまはしないさ」

 

「「「「「――――――ッ!!――――――」」」」」

 

 志貴は怪我をしたのは自分ではない様な言い方をした。記憶障害?とぼけているだけ?

 しかし、記憶障害なら『怪我』=『あんなへま』とはならないだろうし。とぼけるにしてもあんな言い方はしないだろう。

「と、遠野君それはどういう意味ですか?」

 シエルが皆を代表するかのように疑問を投げ掛ける。

「今の俺は『遠野 志貴』という人間ではないって事さ、意識上ではな」

「は、話が掴めないな。どういう事かちゃんと説明してくれ」

 レスクは動揺していないわけではなかったが極めて冷静に尋ねる。

「言葉通りの意味でしかないさ。今の俺は意識上では『七夜 志貴』という人間なんだよ」

『七夜志貴』……それは、遺伝として超能力を継承している退魔の一族七夜家の長男である。

「そ、それでは兄さん……、『遠野 志貴』はどうなってしまったんですか!?」

 秋葉が怒っているのをとても困ったように志貴は見て。

「別にどうもしていない、『遠野 志貴』は眠っているだけだよ。精神が回復すればいずれは目が覚めるだろう」

「そうなると『遠野 志貴』が目覚めると『七夜 志貴』の意識は眠りに付く訳か?」

 レスクは『遠野 志貴』と話したことがない。故にレスクにとって今ここにある『七夜 志貴』が志貴であり『遠野 志貴』という人物は知らないに等しい。やはり目の前の人物が例え意識だけとは言っても消えてしまうのは嫌な思いにはなる。

「そんな事はない。『七夜 志貴』と『遠野 志貴』と言う二つのの人格があって始めて皆が知っている『遠野 志貴』になる。俺が眠っていたとすれば突然アルクェイドを十七分割する事なんて無かったからな」

 漠然としない物もあるが一応納得はいく、まあ最後にとても恐ろしい発言をした気がするが。

「ふーん、彼方が私の事を殺したんだ。志貴は解らないって言ってたけどあなたなら私を殺した理由に答えてくれそうね」

 アルクェイドからは『答え次第ではただじゃおかない』という雰囲気が出ている。さすがにこれにはシエルも止めなければならないという感じがした。

「人じゃない者を見て七夜の血が騒いだってのもあるかもしれない。だが、そんなことを言ったら秋葉や、シエル先輩の方が俺の近くにいて面識もあった………。魅せられたのかもしれないなアルクェイドに…………」

「魅せられたって、どういう意味?」

 アルクェイドは別に『魅せられた』という意味が解らない訳ではない。ただ、七夜の真意が知りたいだけだ。

「う〜ん……。アルクェイドは綺麗だ」

 その一言を聞いてアルクェイドは少し顔を赤くさせる

「だが、その美しさは魔的だ。その恐ろしいまでの美しさに魅せられたんだろうな」

 顔を少し赤くさせているアルクェイドはそれを聞いて複雑な表情になった。

「それは喜んでいいの? 怒ればいいの? 悲しめばいいの?」

「さっきの話の中のどこに喜ぶところや怒るところ、ましてや悲しむ所があるんだ?」

 と、そんな時志貴は後ろから高い熱量を感じた。

「兄さん(遠野君)!! 私は綺麗ではないということですか!?」

 二人はどんな形だとしてもアルクェイドだけ綺麗と言われた事が羨ましい(妬ましい?)様な感じである。

 まあ、二人とも志貴に好意を持っているのだからしかたない。

「え?秋葉は綺麗というより可愛いという感じだな。シエル先輩は綺麗だけどアルクェイドとは別に優しい感じがするよ」

 志貴の言葉で二人はさっきのアルクェイドより顔を赤くした。

「くすくす……、志貴さん今日は一段と女ったらしぶりに磨きがかかってますね〜」

 琥珀はそう言うが、志貴にはあまり解ってはいなかった。……つまり素でやっていることなのだ。

「なあ、もうそろそろ本題に戻していいか?」

 すっかり忘れられていそうなレスクはものすごく疲れた顔で言った。

 

「「「「あ……。どうぞ」」」」

 

 レスクはため息を付きつつも言った。

「といっても、俺達から話せることはさっきので終わりなんだ。

 後はただの提案なんだが……。『紅い月 アルクェイド・ブシュリンスタッド』『紅赤朱 遠野秋葉』『直死の魔眼 七夜志貴』あんた達はたぶん今日にでも死徒を探し行こうとしているだろう。そこでだ、協力しないか?」

 レスクは志貴たちに向けて不敵な笑みで問い掛ける。

「協力ですって?いったい何を考えているの『破壊者 レスク・ルナ・アルテミス』」

 アルクェイドは口調の割りにやんわりと問い掛ける。

「何と言われてなあ、そのままなんだが……。

 考えても見ろ、あの『遠野志貴』が腹に穴を開けられた相手だぞ?戦力は多い方がいい。まあ、正直を言ってしまえば一般人の志貴や秋葉、教会に協力していないアルクを監視しなくてはならん。なら、最初から協力した方がこちらの手間も省けるってものだ」

 二人は少し考えていたが、アルクェイドだけはあっけらかんと答えた。

「まあ、確かにあの志貴が簡単にとは行かなくても殺されかけたんだしね。志貴が協力するんならいいわよ」

 それを聞いて考えていた秋葉も。

「そうですねアルクェイドさんと珍しく同じ意見です。兄さんが協力するのなら協力しましょう、その方が兄さんを見張る事も簡単でしょうし」

 なんか二人とも身勝手なことを言って結論を志貴に押し付けた。

「と言う事は俺が最終的に決めなければならないのか……。

 まあ、いいんじゃないか?戦力が欲しいのはお互い様みたいだしな、お願いするよレスク、シエル先輩」

「ええ、よろしくお願いします。……と言っても、最初協力者は遠野君だけにしようと思っていたのですが仕方ありませんね」

 シエルがため息を付きながら肩をすくめる。

「安心しなさい、シエルでもは敵のおとりぐらいは出来るから」

 

 ――――――ピシッ!!――――――

 

 く、空気が凍りついた……。

「どうやら……、やはり私とあなたが協力できる訳がないようですね……」

 と、シエルが立ち上がる。

「フン、どうやらそのようね」

 と、アルクェイドも立ち上がる。

 どうやら二人とも臨戦態勢完了の様だ。こうなればもう誰にも止められない……はずだった。

 

 ――――――ゴスッ!!――――――

 

 と、なんか普通の人が喰らったら頭蓋骨でも陥没しそうな音のキョップを二人に喰らわせた奴がいた。

「あーもう、二人とも寝てろ話がちっとも進まない」

 レスクだ……。レスクはさっき忘れられていた時も、極めて冷静にしていたがもうそろそろ我慢と言うものも出来そうになかった時にさっきのだ。

「さて、協力感謝する。そこで、一日にこんな大勢で見回るのも効率が悪い。編成として三人で見回ろうと思う、それを一日ずつ交代して行ったらどうだろう。後二人は何かあった時の為に体を休めておく」

 レスクが話していると志貴が手を上げる、一応さっきの出来事を気にしている。何しろあの最強クラスの二人を一撃の下に気絶させたのだから……。

「それだと協力するのに条件を出したいんだが」

「条件?分かった聞かせてくれ」

「その三人の編成の中に俺を常に入れてい置いて欲しい」

 それを聞いてレスクは眉をひそめる。

「言ったはずだろ……。二人は体を休めるって」

「それだと、一人は二日連続になってしまう。なら、いっその事一人はずっと居てもいいだろう?」

「それは心配いらない。俺が毎日行けばいい事だ」

 それを聞いた志貴は薄く笑うと。

「それでも、少し問題が出てくるんじゃないか?」

 志貴が見ている先は秋葉、シエル、アルクェイドの三人……。それだけでレスクは志貴が言った事を理解した。

「確かに……、厄介だな。解った要求をのもう。

 しかし、俺が毎日行くというのは変わらないから三人に行く順番を決めてもらおう」

 と、レスクが言ったが、いきなり秋葉が睨んできた。

「何が問題で、何が厄介なんですか?兄さん、レスクさん?」

 その眼光に貫かれた志貴は苦笑いを浮かべ。レスクはそういうと所が……、と言いそうになったが命が惜しいのでやめておいた。

 

 

 あの後、シエルとアルクェイドが起きてさっきの決定に少し文句は言っていたがレスクに説得されて渋々ながらも頷いた。

 そして、順番を決めるにあたって一番公平と言う事でジャンケンをする事になった。

 

「ジャン!ケン!!ポン!!!」

 

 それにしても、志貴もレスクもこんなに気合が入ったジャンケンははじめて見た。

「やった〜!! 志貴〜勝ったよ〜」

 一番はアルクェイドらしい。

「まあ、不本意ですけど……。誰かさんよりはいいでしょう」

 二番目は秋葉。

「ううう〜、負けてしまいました〜」

 三番目の誰かさんもとい、シエル。

「これで決まったな……。はぁ、事情を話してこれを決めるだけだったのに何でこんなにも時間が掛かったんだろう?」

 

 

 そんなこんなで夜になったが、志貴が目覚めたばかりという事で今日に見回りはレスクとシエルがする事になりそれぞれの帰路にたった。

 その後は本当にいつも通りの日常だった。志貴は秋葉と共に夕飯を食べ、その最中で何度かテーブルマナーを注意された。その後は皆でくつろぐといったごく普通のものになったいた。変わった事と言えば翡翠が志貴と顔を合わせる度に顔を紅くさせていた事だろう。

 

 今は七夜志貴に少しばかりの休息を……。明日からの死闘に備えて……。

 

 

 

to be next

 

 

 

 あとがき

 おひさしぶりで〜す。この雷牙、不承不承ながら帰って帰って参りました!!

 今回は初の試み月姫のSSです。なんか俺にしてはこの小説長いかな〜?なんて思っていますが大丈夫ですよね?

 なんか小説書くのも、あとがき書くのも久しぶりで何書いていいか解らなくなってきています次第です〜。

 この頃HYOROROさんに絵を(というかCG)を教えて貰っていたので小説が手付かずでした(言い訳

 まあ、書くペースは出来るだけ努力するので今後もよろしくお願いします

 

 最後に、乱筆乱文をお許しください

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