夏再び SIDE2

 

 

「でもな、楽しかったよ、俺も」

 一人でトランプをしている少女に俺は言った。

「ほんと?」

 彼女は訊き返す。

「ああ。観鈴と過ごせて良かった」

 本心からそう思う。

「わたしもよかった」

 ぱたぱた…

 観鈴はトランプを続ける。

「じゃ、いくな、俺」 

「うん」

「じゃあな」

「うん…ばいばい、往人さん」

 トランプを膝の上に広げたままで、見送る観鈴。

「ばいばい」

 俺はそう言って部屋を出た。

 

『二人の心が近づけば、二人とも病んでしまう』

『二人とも助からない』

 それなのに、俺は観鈴の側に居続けた。

 誰よりも観鈴の側にいたいと思った。

 だが、俺は観鈴から逃げた。

 他に何が出来たというのだろう…

 二人の心を遠ざける以外に何が出来たというのだろう…

 何もない。

 今の俺に出来ることなど何一つない。

 だが、観鈴を救えるのは俺しかいない。

 あまりにも残酷な矛盾。

 俺にも何か出来ることがあるのだろうか?

だが、少なくとも今の俺に出来ることなど何もない。

 だから、俺は神尾の家を出た。

 観鈴を助ける方法を探すために…

 再び彼女が笑えるように…

 

 ガタンゴトン…。

 揺れる車内

 その騒音に俺は目を覚ました。

 霞んでいた視界が晴れると、向かいの窓から流れていく景色が見に入った。

 …青い空と、青い海。

 今俺が乗っている電車は、知らないうちに海の近くまで来ていたようだ。

 目的地などはない。

 ただ、停車していた電車に乗り込んだだけだった。

 …当てのない旅。

 目指すものはあるのだが、どこにあるかなどは分からない。

 だから、当てのない旅を続けている。

「次の駅で降りるか…」

 別に理由もなくそう決めて、俺は再び目を閉じた。

 

 電車は小さな駅に入り込み、停止した。

 どうやら終点まで眠ってしまったらしい。

 ドアが開き、眩しい日差しが床を切り取る。

 その向こうは、夏。

 俺は日差しに目を細めながら駅のホームに足を踏み出した。

 と、同時にうだるような熱気が押し寄せてきた。

「あぢぃ…」

 思わず、くるりと振り返って涼しい車内に戻りたいと言う衝動に駆られる。

 だがここはもう終点。

 電車もしばらくは動き出す様子はなかった。

「…仕方ないな」

 ひとつため息をついて、俺は足を踏み出した。

 …ふと駅を見渡す。

 人は誰もいないようだ。

 いや、ひとりだけ駅員がいた。

 俺はその駅員に背を向け、何気ない仕草を装いながら駅のホームを歩いていく。

 改札口…

 ではなく、ホームの端に向かって。

 端まで来ると俺は線路にヒラリと飛び降りた。

 そうして、近くの踏切まで歩き、何食わぬ顔で道路に出る。

 完全に無賃乗車である。

 俺はここ最近この手口で移動を繰り返していた。

 多少良心は痛むが金がないので仕方がない。

 追って来る人はいなかった。

 どうやら今回も上手く行きそうだ。

 俺はそう思いながら線路を歩いた。

「…ん?」

 しばらく歩き、俺はふと妙なことに気がつく。

 今俺が歩いているのはさっきの電車の進路と同じ方向…

 だがさっきの駅は間違いなく終点だった。

 ちなみに線路は続いている。

 俺は少し不思議に思いながらもあまり気にとめないで歩き続けた。

 

 やがて行く手にひとつの駅を見つけた。

 しかしその駅は完全に廃れていてぼろぼろだった。

 廃駅にでもなったのだろうか?

 別にどうってこともない駅。

 だが、流れていく景色に、俺は見覚えがあった。

 俺は再び駅に視線を移した。

 すると、俺の脳裏にいくつもの情景が浮かんできた。

「………」

 俺は大きく息を飲み、しばらくその場で立ち尽くした。

「そう、か…」

 また戻ってきてしまったのか…

 ずっと避け続けていたというのに。

 また、この町に来てしまった…

 押し寄せる後悔。

 そして頭に浮かぶ少女の姿。

 あいつは、どうしているだろうか。

 元気にしているだろうか。

 相変わらず、あの微笑みを浮かべているだろうか。

 この数ヶ月…いや、もう一年になるのか…俺はあいつを救う方法を見つけるために旅を続けていた。

 その方法を見つけるまで、この地に足を踏み入れないと誓っていた。

 しかし、それも、あっさりと破られてしまった。

 どうせなら…

 せめて一目、あいつの姿を見てみたかった。

 あいつは、頑張っているだろうか。

 俺なんかがいなくても、ちゃんと微笑んでいるだろうか。

 あの夏の日、あいつに出会った町に向かって、俺は足を踏み出していた。

 

『彼女はいつでもひとりきりで』

『そして、少女のままその生を終える』

『二人の心が近づけば、二人とも病んでしまう』

『二人とも助からない』

『だから、その子は言ってくれたの』

『わたしから離れて、って』

 本当にその方法しかなかったのだろうか。

 二人の心を離す以外にも何か方法があったのではないだろうか。

 俺が観鈴と離れたのは、あのままでは二人とも死んでしまうと思ったからだ。

 離れれば、元に戻る。

 …本当にそうだったのだろうか。

 それにそれは根本的な解決法ではない。

 だから俺は、探した。

 観鈴を救う方法を。

 …けれど、見つからなかった。

 いまだに、見つけられずにいた。

 そしてその間、俺はこの町に近づかないでいた。

 …結局は、

 理由を見つけて、逃げていたのではないだろうか。

 観鈴から逃げたんじゃないと、自分に信じ込ませたかっただけじゃないのか。

 俺は―――

 観鈴がもうこの世にはいないのだと、心の何処かでもう分かっていた。

 

 しばらく後、俺は神尾家の前に立っていた。

 どうしても、ここからもう一歩を踏み出すことが出来ない。

 怖いのだ、どうしようもなく…

 おそらく突きつけられるであろう残酷な現実に俺は恐怖を覚えずにはいられなかった。

 観鈴の死という現実に…

 

 もうどれだけの時が流れただろうか。

 俺はまだ思い切れずにいた。

 このまま逃げてしまおうか。

 再び旅に出てしまおうか。

 そう思い始めたとき…

「うちの家の前でなにやっとるん?」

 声をかけられた。

 誰であるかはもう分かっている。

 俺は恐る恐る振り返った。

「やっぱりあんたか…、どうして今ごろ戻って来たんや? 居候」

 やはり晴子だった。

「………」

 俺は何も喋れなかった。

 かける言葉が見つからない。

「まぁ、ええわ。とにかく家入り」

 俺は促されるまま、重い足取りで神尾家の玄関をくぐった。

 

 食器を洗う音が絶えず聞こえてくる。

 ガチャン!

「あ〜、一枚割ってもうた」

「………」

 晴子は俺のことをどう思っているのだろうか。

 やはり観鈴から逃げた卑怯な男だと思っているのだろうか。

 それにしては晴子から何の憤りも感じ取れない。

 茶まで出してくれた。

 ひょっとして観鈴は生きているのだろうか。

 死んでいるのならこの晴子の態度は納得できない。

 1,2発はぶん殴られるのを覚悟していたというのに…

 観鈴は生きているのかもしれない。

 わずかに生まれた一抹の希望。

 俺はそれにすがるように訊いた。

「なぁ、晴子。観鈴は元気にしているか?」

 一瞬、台所の方から息を飲むような音が聞こえたような気がした。

「観鈴は…あの子はもう…おらへん。死んだんや」

 晴子は震える声でそう紡いだ。

 一抹の希望はあっさりと砕け散った。

 なんという滑稽なことだろう。

 観鈴を救うための旅だなんて…

 観鈴はとっくに死んでしまっていたというのに。

「じゃあ…どうして!」

 どうしてこうも平然と俺に接することが出来るのだろうか。

 許してほしいなんて思っていない。

 だが晴子の態度は明らかに俺の気に触れた。

「なんで観鈴から逃げた卑怯な男にこうも優しく出来るのか? って言いたいんか?」

「あ…ああ」

「許せへんよ。あんたも、自分自身も、そして観鈴を連れていってもうた空の夢もな」

 言っている言葉に対して晴子は穏やかな口調で言った。

「夢のこと…観鈴から聞いていたのか?」

「ああ、毎日のように空の夢を見るってな。そしてあんたからも聞いた」

 そう言えば…いつか俺も晴子に話していたような気がする。

「確かに許せへん。でもな、それを責めたってどうしようもないやん。それで観鈴は帰ってくるんか?」

「…それは」

「いまうち、ごっつ幸せやねん。毎日子供たちに囲まれてな…毎日が楽しくて仕方がないねん。それに観鈴は…神尾観鈴は今でもここにおる」

 そう言って晴子は自分の胸をドンと叩いた。

「それだけで十分や」

 晴子は変わっていた。前とは比べ物にならないくらいに強く…

 この女は最期の時まで観鈴の母でありつづけたのだろう。

 結局何も変わらなかったのは…俺だけだ。

 俺はもう一度、晴子の顔を見た。

 それは紛れもない、母親の顔だった。

 

「もう行くんか?」

「ああ」

 結局暗くなるまで長居してしまった。

 これ以上晴子に迷惑をかけるわけにもいかない。

「それじゃあな」

 俺は晴子に背を向け歩き出した。

「うちはもう吹っ切れたけど…あんたもいつまでも考えてたらあかんで。確かにあんたは観鈴から逃げたけど…あの子とはええ友達でいてくれたやん。それだけでええと思うで」

 背後から晴子が言った。

 俺は振り返って…

「ありがとう」

 そう言って再び歩き出した。

 他人に心から礼を言うのはずいぶん久しぶりだと、そう思った。

 

 駅で野宿して迎えた次の日…俺は商店街にいた。

 無論、金を稼ぐためだ。

 金が無い限りこの町を出ることもできないし、なにより食料が確保できない。

 もはや既に空腹だ。

 てくてく動かしている人形もどこか気力が無い。

 しかも温暖化のせいか、朝でも異常なほど暑い。

 というか既に限界だ。

 道を歩く人々の姿もどこか遠くに感じられ…

 そのまま俺は鳥に…

 大字で      ばしゃあーーー

 なれなかった。

 というか冷たい。

 どうやら水をかけられたらしい。

 そして、他人の背後からいきなり水をかけるような非常識な人物は一人しか思い当たらない。

「やぁ。久しいな、国崎君。元気にしていたか?」

「まぁ、人並みにはな…。そういうあんたは元気にしてたのか?」

 俺は水を滴らせながら答えた。

 もはや呆れて怒る気にもなれない。

「ああ。もちろんだ。人の病気を診る仕事をしている以上、自分が病気になるわけにもいかないからな」

 そういうものなのだろうか。

「それにしても相変わらずヒマそうだな。国崎君」

「あんたほどじゃないけどな」

「………」

「………」

 閑古鳥が鳴いてるよ…

「そ…そう言えば君は今私のことを『あんた』と呼んでいたが、まさか私の名前を忘れたわけじゃあるまいな?」

 かなり露骨な話題転換だ。さすがにさっきの話題は両者共にイタすぎたようだ。

「は? そんなの憶えているに決まってるだろ。え〜と…霧島ぁ…霧島…」

「おい」

「分かった! 霧島ポテトだ!」

 シャキーン

「すみません。冗談がすぎました。霧島聖さんです」

「ふむ、それならいい」

 なんかムカつく…

「そういうあんたは俺の名前を覚えているのか?」

「………」

「おい」

「国崎ポテト君だろ」

 絶対違う。

「冗談だ」

 やっぱムカつく…

 

「なるほど…観鈴ちゃんを救うための旅に出ていたというわけか…」

 聖が茶を飲みながら言った。

「ああ、でも結局あいつを救うことは出来なかった。一体俺は何をやっていたんだろうな」

 俺は茶を飲み干すとため息ひとつ。

「まぁ、そう自分を責めるものでもないぞ。人間には出来ることと出来ないことがある」

 確かにそうだ。

 だが、それは俺にしか出来ないことだった。

 いや、やらなければならないことだった。

 それなのに俺は…

「それで…これからどうするんだ?」

「何がだ?」

「君の旅はもう終わったんだろう?」

 ああ、そうか。

 もう旅なんてする必要はないんだな…

 一瞬空にいる少女のことが頭を掠めたがそれも今となってはどうでもよかった。

「………」

「当てがないならここに住んだらどうだ?」

「え?」

「佳乃も喜ぶ」

 それだけ言うと聖は再び茶を啜った。

 診療所に住むか…

 それも悪くないかな。

「いや、遠慮しておこう」

「どうしてだ?」

「性分なんだ。一ヶ所に長くは留まれない」

「そうか…」

 聖は残念そうに呟いた。

 

「世話になったな」

 たっぷり時間を潰してから診療所を出る。

「ああ、また何時でも遊びに来てくれ」

「ああ、そうさせてもらうよ」

 俺はそう言って歩き出した。

「………」

 ふと思い立った。

「なぁ、聖」

「どうした?」

「ひとつ教えて欲しいことがある」

 

 俺は神社へと続く坂道をひたすら上っていた。

「アヂィ」

 今は夏。

 しかも日中で一番暑い時間帯だ。

 歩く度に遠退きかける意識を何とか保ち、俺はその場所を目指していた。

 

「ひとつ教えて欲しいことがある」

「何だ?」

「あいつの…観鈴の墓の場所を教えて欲しい」

「ああ、それなら…」

 

 『それ』は神社の境内から少し離れたところにあった。

 そう、これが現実だ。

 神尾観鈴は―――

 もう、この世には存在しない。

 俺は何だか力が抜けてその場に座り込んだ。

 相変わらず陽光は絶えず辺りに降り注いでいる。

 だがこの場所は不気味なほど涼しかった。

 鳥や虫の声もどこか遠い。

「なぁ、観鈴」

 俺は返事が返ってこないと分かりきっている者に話しかけた。

「お前はずっとこんなところにいたのか?」

 こんな寂しいところに…

 ひとりぼっちで…

「なぁ、お前は…お前は今でも微笑っているのか?」

 返事が返ってくるはずのない問い掛けは青く青く澄んだ空へと消えていった。

 

「………」

 もうどのくらいここにいるのだろうか。

 数十分? 数時間?

 そんなことはどうでもよかった。

 立ち上がることができない。

 観鈴から離れることができない。

 もうここに観鈴は居ないと分かっているのに…分かりきっているのに。

 俺はどうしても立ち上がる気になれなかった。

「なぁ、観鈴」

 問い掛けをしたのはこれで何度目だろうか。

「俺は…これからどうすればいいと思う?」

 どうすれば…

 どうすれば観鈴は許してくれるのだろうか?

 微笑んでくれるのだろうか?

 …いや、観鈴は既に俺のことを許してくれていると思う。

 あいつは優しいから…

 どこの誰よりも。

 強いから…

 俺なんかよりもずっと。

 だから…

 もし、生きていたのならあいつはこう言っただろう。

「往人さんは頑張ってくれた。謝らなくちゃならないのはこっちだよ」

 必至に強がって…

 痛みに耐えて…

 震える声で…

「それに…まだ終わりじゃないよ。私もまだ頑張れる。だから…往人さんも…」

 そして、最後は必ず笑顔で…

「一緒に頑張ろうよ」

 そう言うのだろう。

―マダオワリジャナイ?―

 違う!

 それは俺の願望だ。

 観鈴は死んだ。

 もう終わりなんだ!

―マダガンバレル?―

 違う!

 もう俺にできることなんかありはしない。

 何もできないんだ!

『往人さん、知ってるんだよね』

 再び脳内でリフレインされる観鈴の声。

 だが、今度は俺の願望ではなく、過去にあいつが俺に言った言葉だった。

『あの夢がわたしをこんなふうにしてるって』

『最期には―――』

『空に居る女の子といっしょになってしまうって』

 そう、それは確かにあいつが言っていた言葉だった。

 もうそのときに観鈴は自分の死を確信していたのだろう。

 じゃあ何のために…

 あいつは何のために頑張っていたというのだろう。

 思い出せ!

 あいつは何と言っていた?

『わたし、頑張って夢を見る』

『もっと夢を見れば分かるかも知れないから』

『その子がどうして苦しんでいるのか』

『そうすればその子のこと助けてあげられるかもしれないから』

『だからわたし、がんばる』

 そうだ。

 あいつは空に居る少女のために…

 彼女を救うために頑張っていたのだ。

『往人さんにも手伝って欲しいな』

 ……………

 見つけた!

 俺のできることを。

 しなければならないことを。

 俺は再び首を大きく振って立ち上がった。

 小さな荷物をしょって一歩、また一歩と歩き出す。

 数歩歩いて再び墓の方を振り返る。

「………!」

 一瞬…

 一瞬だけ観鈴の笑顔が見えたような気がした。

 それが俺に向けて微笑んでくれているようで…

 たったそれだけのことで俺は救われたような気がした。

 

 坂道の途中、向こうから一人の男が歩いて来る。

「こんにちは」

 男は俺と目が会うと軽く会釈して挨拶をした。

 どこかで会った事があるような気がする。

「ああ」

「神社の帰りかい?」

「そんなところだ」

「こんなへんぴなところの神社に何か用でもあったのかい?」

「そう言うあんたはどうなんだ?」

 何か話しやすい人だな。

「僕は墓参りだよ。娘のね」

「…そうか」

 観鈴の…

「ここら辺で見かけないが、どこの出身だい?」

「さぁ、どこだろうな。物心ついたときから旅をしているからな。分からない」

「すると…君は旅人というわけだ」

「ま、そうなるかな」

「………」

 そこで会話が途切れる。

「なぁ」

 今度は俺から話し掛けた。

「なんだい?」

「この空の向こうに翼を持った少女がいると聞いたら信じるか?」

「それはなかなかロマンチックな話だね。信じるかどうかは別として」

 男は観鈴の病気を知らなかったらしい。

「…そうか」

 俺はそう言って歩き出した。

「これからどこへ行く?」

 男がなおも訊いてくる。

「さぁ、どこだろうな」

 俺は振り返りもせずに歩き続けた。

「ありがとう、往人君」

「え!?」

 振り返るがその男はもうずいぶん遠くに居た。

 今更問いただす気にもなれないので俺は再び歩を進めた。

 

 翌朝、俺は駅で目を覚ました。

 しばらくはぼーっとしていたが、目が完全に覚めると俺は旅の準備を整えた。

 立ち上がり、ふと空を見上げる。

 今日も抜けるような青空。

 浮かぶ影は空舞う鳥たち。

 そして空に居る少女の姿。

 既に日は昇っていたので直射日光が目を焼く。

 だがその陽光もこの青空の向こうからやってきていると思うと、そう悪い気もしない。

『この空の向こうには翼を持った少女が居る』

『それは、ずっと昔から―』

『そして、今、このときも』

『同じ大気の中で、翼を広げて風を受け続けている』

 観鈴は彼女を助けてあげようとした。

 自らの命を賭してまで。

 だから―――俺も…

 俺は地上に視線を戻した。

 映るのはさびれた駅。

 そしてどこまでも続いてゆく線路。

 俺はしっかりと前を見据え、歩き出した。

 来た方向とは逆の線路へ。

 駅は潰れているが線路はまだまだ続いている。

 どこまでも続いてゆく。

 まるで青年の旅のように―――

 

 

どこまでも、どこまでも高みへ

 

 

 あとがき

 みなさんお久しぶりです。

 というわけでサヨウナラ。

 ……………

 という笑えないジョークはこれくらいにして解説でもしませうか。

 夏再びside2

 つまりこれはside1があるということです。

 1も2も設定は往人が観鈴から逃げたところというのは同じです。

 しかし、内容は全く異なります。

 1はギャグサイド。2はシリアスサイドというわけです。

 まぁ、読めば分かるでしょう。(笑)

 AIRについて…個人的には観鈴よりも美凪のほうが好きなんですが。

 今回彼女を出すことは出来ませんでした。

 はぁ…彼女のように常におてんこモードを炸裂できたら人生かなり楽しいんだろうなぁ。

 おっと、今のは私事、忘れていただきたい。

 今回はかなりしりあす路線でいったのですが…

 ちょっと失敗したなぁ。

 やっぱり難いよ心中表現。

 余談ですがこれを書いてるときに無性にギャグを書きたくなりました。

 というわけで次はギャグです。

 そして多分Kanon。

 じゃ、次の執筆にでも移りましょうかね。

 では、そういうことで。

 

 意見、感想等はこちら world-twenty-one@ezweb.ne.jp

 

 追伸 ルイージはマリオよりもナイスミドルだと感じる今日この頃(何

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