幕 間




 いつからだろうか。

 自分は他人とは違うと思い始めたのは。

 普通の他人とは違うと思い始めたのは。

 こんなのは大した事じゃない。

 ただ、ちょっとだけ普通の人には出来ないことが出来るだけなんだ。

 そう自分に言い聞かし、そして今まで生きてきた。

 この力に意味はあるんだろうか。

 この力を持って生まれてきた自分に意味はあるんだろうか。

 そんなことは分からない。

 分かるわけがない。

 ただ一つ、確実に言えるのは「自分は普通ではない」ということ。

 だから、この事は誰にも話すことはなかった。

 自分の親にすら、

 自分を引き取ってくれた叔母さんにすら、

 幼馴染の女の子にすら、

 誰にだって話すことはなかった。

 それでいいんだ。

 知っているのは自分だけでいい。

 これを使わない限り、自分は他人と変わらないのだろうから。

 これを使わない限り、自分は人と共に歩いていけるのだろうから。

 だから、この力は秘密。

 もし、これを使うときが来るのならば、それはいつのことだろう。

 もちろん分からない。

 それなら、その時が来るまではこの力は使わないでおこう。

 自分が俺であるために。

 俺が『折原浩平』であるために。









  


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