Panic Party  第十九回  柚木詩子




 俺が商店街に着いたとき、もう既に俺以外は集まっていた。

「遅いわよ折原」

「あぁ、すまん」

 謝ってからふと思った。

「七瀬。お前、大丈夫か?」

「ん? 何が?」

「いや、だって…まぁ、いいか」

 俺も今の今まで忘れていたが、俺はこいつの人中を的確に突いていたはずだった。

 どうしてこんなにぴんぴんしてるんだ?

 人体急所だぞ?

 ちなみにこの前住井で試したところ、ヤツはそのまま保健室に運ばれ、早退していった。

 まぁ、七瀬が人並みはずれて丈夫なだけなんだろうな、たぶん。

「あれ? 川名先輩は?」

 七瀬が不思議そうな顔をする。俺はここにひとりで来ていた。

「先輩とは連絡がつかなかった。どこかに出かけてるらしい」

「そう…」

「じゃあ、とりあえずはこのメンバーで瑞佳さんがどこに行ってしまったのか聞きこみをするんですね」

 と、茜。ちなみにここに居るのは俺と七瀬、茜と澪、そして…

「あぁ、そうなんだが、茜。ひとつ訊いていいか?」

「なんですか?」

「さっきからそこのモノ影に隠れて微妙に出現する間を計ってるヤツは何者だ?」

 俺の言葉にモノがびくりと揺れた。

 茜はモノを一瞥して、また俺のほうを向いて言った。

「知りません」

「ちょっと茜。それはないんじゃないの!?」

 モノを押しのけてその人物は出現した。

「なんだ、こいつか」

「なんだとは何よ? せっかく茜の頼みでこの詩子さんが手伝ってやるって言ってるのに」

「じゃあ、とにかく二手に分かれるか。とりあえず俺と茜、七瀬と澪ってことでいいか」

「いいわよ。じゃあ、がんばろう、澪」

『がんばるの』

「それでは一時間ほど訊きこみをして、ここに集合しましょうか」

「そうだな、じゃあその方向で」

 俺達は二手に分かれ、訊き込みを開始し…

「ちょっとぉぉぉ! わたしは完全無視!?」

 全員の動きが止まった。

「分かった分かった。仲間に入りたいんだろ? 仕方ないなぁ…」

 やれやれと肩を竦めながら俺は言った。

「かなりバカにされてるような気がするんだけど?」

「気のせいです。それじゃあ、詩子は私達のグループということでいいですね」

「うん。長森さんを探すんでしょ? この詩子さんに任せておきなさい」

 胸を張って言う詩子。七瀬は怪訝そうな顔をして、

「…オリハラ・グループは不安だわ。あたしたちはがんばろう」

 澪に言い聞かせている。

 どうでも良いが、勝手にに名前を付けないで欲しい。

「じゃあ、一時間後にここに集合だぞ」

 新たな仲間、柚木詩子を加えて、その聞き込みは開始された。











  


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