−必殺!ライス・ブレード!!−
俺はひとり、海を見ていた。
「腹減った…」
しかも気分は最悪だった。だが! 今日はすこしハッピー。なぜなら、
「俺にはこの特大おにぎりがある!」
ぱんぱかぱーん
なぞの効果音が響く中、俺はソレを掲げた。
直径50cmにもなりそうな俗称おにぎり≠。
「あの親切なオバサンにはタダで人形劇をみせてやらないとな」
そう言いながらソレを口へ――
どごっ!
「ぐはぁ!?」
いきなりの背中への一撃に体勢が一気に崩れる。
おにぎりが――飛んだ。
空にいる少女――ならぬ、空に逝ったおにぎり。
「うわぁあああああああああああ!!!!!」
俺は絶叫しながらもソレを追う。
そしてその先には、
ざっぱーーーーん!
海。
それがあった。
大きな波は、俺を嘲笑うかのようにソレを飲み込んだ。
それはもう、一瞬で。
「…………………」
ブツブツと呟きながら、もといた場所へもどる。
そしてそこには、おにぎりを空へ旅立たせた張本人。
「……………まじ…すまじ。許すまじ。許すまじ―――」
何を感じとったのか、犯人が一歩後退する。
「…ぴ、ぴこ」
ソレが恐怖に鳴き声をあげた。
「ふふ、ふふふ…」
「ぴ、ぴこ…」
むんず。←首根っこをつかむ。
「ぴこっ!?」
ざっ。←振りかぶる。
「海の…藻屑と化せェーーーーーッ!!!」
ぶぅん!!←超大遠投。
「ぴぃぃぃこぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!?」
遠くに、小さな水柱が上がった。
「はぁ…」
何度目かの溜息。
「死ぬ…」
空腹でくたばるのに、それほど時間がかからないだろうと思う。
「旅人、世の中を渡りきれず、志半ばに餓死≠サんな記事になるのか…」
かなり嫌だった。
「残念賞進呈です…」
突然の声に慌てて振り返る――と言っても、普段の数十分の一くらいにのろい動きだが。
「遠野か…」
「進呈です…」
封筒を差し出している。
「お米券か?」
「おこめけんです」
? なぜひらがな?
「まぁ、いい。食い物が手に入るのならなんだって…」
そう言いながら受け取る。
「な!?」
そして手に感じる確かな重力。重い。紙切れだとは思えない!
慌てて中身をとりだす。すると…
伸びる。伸びる伸びる。どんどん出てくる。
艶やかなその色。そして形。それは誰がどう見ても、
「剣?」
「お米剣、進呈です…ぱちぱちぱち……」
ライス・ブレードですか? むしろマジですか?
「…マジです……」
遠野殿は少しトリップ気味のようだった。この暑さにやられたのだろう。
それよりも、
「銃砲刀剣類所持等取締法違反じゃないか、これじゃ…」
簡単に言えば銃刀法違反。
「材料があれば、ハンバーグ作るので…」
「材料か…」
材料。ハンバーグ。肉。肉? 犬可? むしろ犬? 剣。ライス・ブレード。狩。
「やぁぁってやるぜェっっ!!」
自分自身に喝を入れ、猛ダッシュで狩へと俺は出発した。
「美味い!」
俺はハンバーグを食っている。遠野がつくってくれたのだ。
横には例のお米剣<ライス・ブレード>
真っ赤に染まっている。
それが示す事実は…語らないでおくとしよう。
もし知りたいのなら、旅人を探すことだ。
語り部として、話してくれるだろう。
このコトを。そして、真実を…。
「ぴこっ」
.end
後書(のちしょ)
読んだことある人もいるんじゃないかなぁ〜?
日記のところに書いたヤツをチョット改造したやつです。
あはは、無茶苦茶だ。
ライス・ブレードですよ。剣ですよ。
コイツは使える。これからも使える。よし。
さてさて、内容は……読んで。
説明したくないから。
まぁ、短いし、すらすらと読めたでしょうね。
美凪嬢の口調が分かりにくいっス。
難しいっス。
それではっス(ぇ
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