Luminous Light

 

 

クリスマス…。

恋人達は町に繰り出し、

子供達は夢を見る…。

そんな楽しい特別の日。

本来ならそんな楽しい日なのだと思う。

街は色とりどりの光に包まれ、

降り注ぐ真っ白い結晶が神秘的な空間を創り上げている。

だけど私はそれを神聖で、楽しいとは思えなかった。

いかに街が光に満ち、想い溢れていても…。

 

苦しかった。

妹が…大好きな栞が病気と戦っているというのに…。

自分だけが祝うなんて事は出来ない…。

出来るはずがない…。

栞の苦しみは、私の苦しみだから。

私は栞の側にいることしか出来ないから。

でも栞は…

私に心配かけないようにして…

 

「お姉ちゃんは楽しんでよ」

 

私のことばかり考えていてくれた。

でも…

苦しさを押し殺してでも笑顔を見せる妹を見ることが辛かった…。

ただ、苦しかった…。

心が締め付けられるようで。

砕け散ってしまいそうで。

いつか栞が目の前から消え去ってしまう、そう考えるだけで…。

心の鎖が増えていって…。

 

「起きないから奇跡って言うのよ」

 

そう思ってきた。

思うしかなかった。

それで苦しまなくて済むなら…と。

でも苦しみはなくならない。

栞は頑張っている。

一人で、一人きりで。

私は…逃げることしか出来なかった。

だけど――

『奇跡』は起こった。

彼が起こした。

『奇跡』は起きてしまったのだ。

 

「少しでも起きる可能性があるから奇跡って言うんじゃないのか?」

 

そう言って笑っていた。

 

『奇跡』は起きた。

苦しむ姿も見ることはない。

必要もない。

もう、見たくも無い。

ただ…

二人、笑っていられる。

今なら…

今ならクリスマスも楽しいと思える。

街を包む光も、振り注ぐ雪も…暖かい。

包み込んでくれるように、見守ってくれているように。

全てが暖かい…。

 

自然と笑みも零れる。

隣で大好きな栞が笑顔でいてくれるから。

もう失うことの無い、最高の笑顔で。

 

「お姉ちゃん、メリークリスマス!」

 

「メリークリスマス、栞」

 

永遠の笑顔と、儚き結晶と…零れる雫と…。

 

Pure Snow

 

≫≪ あとがき ≫≪

 香里+栞のクリスマスです。短い…。

 笑顔だからイイんです。他は考えてないんで知りません。香里のクリスマスプレゼントは栞の笑顔でイイんです。嬉しいじゃないですか、妹が無邪気に笑っていてくれたら、ね?

 さぁ、クリスマスを過ぎると一年の終わりもすぐ。一年って早いね。

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