ある晴れた朝の、ある一家の会話。
『朝〜朝だよ〜。朝ご飯食べて――』
いつもどおりの目覚ましから流れてくるその声で、俺を目を開けた。
いつものことだが、なんでこの声で起きれるんだ? 普通、逆に眠たくなるぞ…。
まぁ、今日は日曜だし、今から起きる必要も皆無。も少し寝ようかな…。
『日本制圧に行くよ〜』
がばっ!←飛び起きた。
「な、なに!?」
無茶苦茶な言動をしたぞ。この目覚まし。
錯乱しそうな頭を何とか制御しつつ、スイッチを切る。
「ふぁぁ…完全に目が覚めちまった…」
さっきの目覚ましの発した言葉を頭の中でデリートしつつ、カーテンを思いっきり開く。
光が飛び込み、部屋を明るくする。
外は相変わらず真っ白で、速攻で外に出ないことを決意させた。
「…今日はどうするか………」
ハッキリ言って暇だった。
まぁ、来週テストがあるのだが…とっくに捨てている分、危機感は皆無。
手早く私服に着替えると、部屋を後にした。
「朝〜朝だよ〜。朝ご飯に謎ジャム塗りたくるよ〜」
せっかく朝早く起きたのに、相方がいなくてはボケも出来ん。
と言う事で、名雪の部屋の前にいる、ということだ。
起こすためにも、俺はさっきの言葉を吐いた。
がちゃ。
「おはよう祐一っ!」←超イイ笑顔。
さすがの名雪も起きたらし……い?
「くー…」
思ったのも束の間、さっそく立ったまま寝ていた。
「…おい名雪。その手にしている謎な物体はなんだ?」
甲羅があって、水かきもあって、甲羅からは大砲も出ていて、それでも緑色で、かえる(ディフォルメ)の顔をしているような物体だ。
「けろっくす」
「パクリだろ」
「違うおー」
どうやら、某モンスターのパクリではないらしい。
「けろぴーはどうした?」
「冬眠中だお」
「嘘つけ。本編でもちゃんと出てたぞ」
「でも春眠中なんだおー」
「変わってるぞ」
「くー…」
…いい加減、腹立ってきた。
びしっ!
頭に一撃を与えてやる。
「うにゅ…? あ、あれ…? 祐一……?」
「よぉ、やっと起きたか」
「なんか頭が痛いよ…」
涙目になりながら言う。
「気にするな。ただ、舞直伝つっこみチョップをお見舞いしただけだ」
「酷いよー」
「あっはっはっ。すぐに起きない名雪が悪いんだぞぉ」
軽くからかってやる。
名雪が「酷いよー」という顔をしたかと思うと、
「けろっくす、『はいどろぽんぷ』」
ただ一言つぶやいた。
どばあ!
「ぐおぁ!? な、なんでだあああああぁぁぁぁぁぁ......」
謎のぬいぐるみ(?)の放った激流に飲まれ、俺は戦線離脱した。
「あらあら祐一さん。どうしたんですか? 疲れた顔してますけど…眠れませんでしたか?」
なんとか戦線に復帰した俺に、
いつもの笑顔を浮かべた秋子さんがいつも通り、眠そうな素振りもまったく見せずに言った。
名雪の母親と言うのが信じられないほどの寝起きのよさだ。
と言うか、本当に名雪の母親か?
「眠れはしたんですけど…」
起きたその後に疲れたんですよ。
「そうですか。あ、パンとコーヒーでいいですか?」
「あ、はい。お願いします」
「いちご〜いちご〜〜♪」
横では名雪が幸せそうに真っ赤なジャムをパンに塗りたくっていた。
本気で幸せそうだった。
逆に、俺の心の中は灼熱の炎が轟々と燃え盛っているのだが。
「はい、祐一さん」
秋子さんにパンとコーヒーを用意して貰うと、さっそくジャムに手を伸ばそうとして――硬直。
「あ、お母さん。新しいジャムを作ったって言ってたよね? 祐一に食べて貰ったら?」
な、名雪!? おまえ、何言ってんだよ!?
「そうですね。少し待っててくださいね、祐一さん」
そう言って、謎の物体Ωを取りに行く秋子さん。
「謎の物体Ωなんて喰らいたくねぇぇっっっ!」
ドンッ!!
「ひぃっっ!?」
一瞬の内に秋子さんが謎の物体Ωの入っているビンをテーブルに叩きつけた。
「あ、秋子さん…これは…?」
「新作です♪」(目が笑ってない)
横目で名雪を見る。
「………」
なに手を合わせてるんだよ!?
「…ブツ……ブツ………」
な、南無阿弥陀仏だって!? 死刑確定!?
「ゆ・う・い・ち・さん♪」
「ひぃっっ!?」
「残さず召し上がれ♪」
「ひぃぃぃぃっっっ!!?」
彼の道連れはふたつ。
一体何なのか分からない、謎のぬいぐるみ。
外気に触れることで変色する、蓄光の邪夢。
彼は、えいえんの世界へ旅立った。
了。
あとがき
ダメっスね。壊れてます。
短くて楽だし、これからも続けようかなー?
にしても、いつから秋子さんのジャムはこんなに凶悪になったのか…。
気にしないでおこう。
ついでに、あのぬいぐるみ(けろっくす)はまた出る可能性あり。
んじゃ。
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