ゴゥゥゥゥゥン………
空間中に機械的な駆動音が響き渡る。
重苦しく、戦場という名の空気は全てを縛り付けるかのようだ。
だが、この一角は……その中でも極めつけのものだった。
「愚かな男だ。さしたる特殊能力もなく…ただ、機動兵器の扱いに優れているというだけ…」
凶々しく、曲面だけで作られたような像。
まだ少女の面影を残す声色が全機に伝わった。
「勘と運だけで…私に戦いを挑むか」
「ゴタクはいい。もうコールは済んだ」
ザシャ、と一歩踏み出し、深紅の機体の内で静かに炎が燃え上がる。
「…あと出来る事は、伏せたカードを見せるだけだ」
「カードだと?」
機体背面、メインスラスタを展開。
機体全体を振動が包み込む。スラスタに火を噴かせば、それは開戦の証だ。
「そう。やる事は一つ…お前を…」
深紅の機体―――アルトアイゼンのスラスタに火が灯る。
それに相乗するように、その後方に待機していた他の機体たちも出力を上昇させていく。
ゴゥ…!
まるで弾丸のような瞬間的加速、踏み込み。
開戦を告げる、その疾走。
全ての命運―――今、この刻に決する!
「ただ、撃ち貫くのみ」
第1話
ひとつの戦いが終わり、そして新たな戦いへと未来は進む
DCの反乱、エアロゲイターの侵略……。
そんな戦いは二隻の戦艦を主とした部隊によって決着をもたらされた。
「ホワイトスター内部より高エネルギー反応!」
「!!」
「これは…爆発…!?」
「ま、まさか…キョウスケ中尉達が…!」
「艦長! 敵機動兵器群が活動を停止しました!!」
「で、では…!!」
「アサルト1より、通信です!」
ピー、ピー、ピー、
「キョウスケ中尉…!」
「…アサルト1よりドラゴン2へ…」
「最終標的の破壊に成功…」
全ての戦いが終わり、世界にはひとときの平和が戻った。
だが、払われた犠牲は数知れず、かけなしの人型機動兵器も失われた。
それに伴い軍上層部は軍備再建のためにPTの量産計画を優先させ、ATX計画とSRX計画を凍結させた。
そして半年――――
新たな戦火が燻る。
まだ誰も知らぬところで。
「あなたの未来はどこへ進む―――?」
少年はまだ何も知らない。
「殺してあげるよ……相沢祐一…!」
狂気は目覚め、その目的を燃え上がらせる。
少年は、まだ何も知らない。
自分が世界の命運を担うことになろうことを。
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