ふと気付けば、湖のほとりは真っ赤に染まっていた。

 一面の赤。

 その赤さにくらり、とした。

「見事に咲いたもんだな」

「まったく、この時期になると必ずね」

 はぁ、と霊夢は重くため息を吐いた。それを魔理沙は横目で見ながら疑問符を浮かべた。

「なんだ霊夢。辛気臭いな」

「まぁね」

 その言葉にも覇気がない。

 まるで――目の前に咲き誇る、真紅の花に中てられたかのように。

「彼岸花、か」

 お彼岸が近くなると、必ずというほどに咲き誇る真紅の花。

 気候で花の時期はずれるというのに、この花は決まってこの時期に咲く。

 それも知れずに咲き誇り、そして、知れずに散っていく。

 どこか怪しさと、悲しさを内包する、赤い、花。

「知ってる? これの花言葉、悲しい思い出、って言うのよ?」

 お彼岸の時期に一斉に咲くこの花は、まるで死者たちが主張しているかのようだ。

 悲しい思い出――無念を。

 その想いを、必死に知ってもらおうとしているかのように。

 

 赤い輝きは毒気と、禍々しさを秘めていた。

 眺めているだけでくらりとしそうなほどに鮮烈な、赤。

 

「なぁ霊夢」

「ん?」

 ふたりとも顔を合わせず、ただ一面の赤を眺めながら。

「花言葉が、悲しい思い出、って言ったよな」

「言ったわね」

 魔理沙は一拍置いた。それ自体に意味はなく、ただ何となく。

「この花はさ、他にも意味があるんだぜ」

 え、と霊夢は意外そうな顔をした。

「また会う日を楽しみに、想うはアナタ一人、なんていうのもさ」

 パチュリーから聞いたんだがな、と魔理沙は笑った。

 それを聞いた霊夢も、そっか、と薄く笑った。

 

「魔理沙はこの幽霊花、好きなの?」

 死人花とも言うな、などと言いながら魔理沙は少しだけ考える素振りをした。

「……そうだな。私は好きだぜ」

「悪魔と亡霊のお嬢様方も好きそうね」

「かもな。そういうお前はどうなんだ?」

「私? 私は好きじゃないけど」

 だろうな、と魔理沙は納得したようだった。

 あんな会話の後ではそう思うの当たり前だろう。

「だって私の紅が目立たなくなるし」

 今度こそ。

 魔理沙は声を上げて笑った。

 

 

「ちなみに何で魔理沙は好きなのよ?」

「この花は毒性と薬効があるんだぜ?」

 調合には欠かせないぜ、と言う魔理沙に霊夢は呆れたように言った。

 

「あんたも同じようなもんじゃない」

 

 

 

 

あとがき

 霊夢じゃねぇ!

 そんな一言から始まります。この後書きというもの。

 いや、本当に霊夢じゃないし。誰だこれ。ダメだ。霊夢は難しすぎる。

 このSSを書こう、と思った切欠は、まぁ、彼岸花を見たから。単純ですね。

 お彼岸が近くなると一気に咲く。一面真っ赤、なんてのも見ます。

 で、その彼岸花についてあれこれ調べてみたらなんとなく書きたくなった……というわけ。

 つーか、しっかり内容練ってから書けよ、と言いたい。完全に行き当たりバッタリで書いた。

 そんなことをするから一体何が言いたいのかよく分からない文章になるんだ。

 反省。

 どうでもいいけど、彼岸花って言う名前より曼珠沙華って言う名前の方が好き。

 家に持ち帰ると火事になるとか言うけど……それがあのテイルズでの曼珠沙華の名前のワケか。

 燃える炎のイメージが私的に強い花ですが、仏的な意味が強いようで。

 花も奥が深いものだなぁ、などと思わされました。


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