「ハァ、ハァ、ハァ――――」

 

 ぴちゃり、ぴちゃり、と水の滴る音がする。

 

「ハァ、ハァ、ハ――――」

 

 手にはナイフ。路地裏に差し込む月光がソレを照らし出し、白々と輝いている。

 

「――な、んで」

 

 カチャン、と言う軽い音をたてて、ナイフが手から零れ落ちた。

 目に映るのは黒い落書き。

 この路地裏を、落書きが、塗り潰していた。

 

「ぐっ――」

 

 今になってやっと気付いた。

 ここにあるのは死≠セけ。

 

 死≠ェ侵食している、他とはまったく、異界の地―――

 

 

 

TSUKIHIME

=  輝 閃 混 迷  =

< 前 >

 

 

 

 ズキリ、とこめかみの辺りに痛みが走った。

 その痛みには、覚えがあった。

 この落書きを、視ているからだ。

「イタ、い」

 ズキリ、ズキリ、とまるで鼓動するように痛みが走る。

「メガネ…」

 そうだ、メガネがない。

 先生に貰った、大切なモノ。

 ソレをかければ、落書きも、痛みも消えるのに。

「ど、こ……?」

 まわりを見回す。

 

 落書きが多すぎて、分かりにくい。

 でも、

 

「――あった」

 ソレは、自分のすぐ足元に落ちていた。

 拾い上げ、かける。

 すると、あんなに沢山の落書きが消えて、痛みも治まってくれた。

「ハ、ァ―――」

 溜まった息を吐き出して、やっと落ち着くことが出来た。

 

 

「――――え?」

 

 瞬間、呼吸を忘れた。

 

 赤い。どこまでも赤い。

 真紅に濡れた路地裏。

 鼻をつくような異臭。

 バラバラにバラされて、元のかたちも分からない肉の塊。

 

 おそらく、コレは、ヒト、だ、――――

 

 どこまでも、徹底的に、破壊された、ヒトの体。

 量的に、三人くらいの……ヒト。

「ぐ、ぅ…っ」

 吐きそうになる。

 とても直視できるような光景じゃない。

 今は、一刻も早く、この場から離れないと―――

 

 ―――ザリ…

 

「っ!?」

 地面を噛む音に、咄嗟にナイフを拾い上げる。

 路地裏の入り口に、何か、居る。

 ―――!

 ソレが唐突に、驚異的なスピードで跳びかかってきた。

 なんて大きくて、黒い犬。

 それを体を捻ってかわす。

 黒い犬は路地裏の奥に着地し、体を低くして今にもまた跳びかかろうとしている。

 ―――ハァ

 ナイフを握る右手に力を込め、左手をメガネにかけた。

 ……刹那、犬が跳んだ。

 一直線に、首を狙って。

 それを見ながら……

 

 

 ――――メガネを、はずした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぅ…ん……」

 そんな夢から、遠野志貴は目を覚ました。

 身体を起こすことで、此処が自分の部屋だと言うことが分かる。

 

 ズキリ、という痛み。

 部屋中に走る線

 継ぎ接ぎだらけの世界の具現。

 それを消す為にメガネをかけた。

 その瞬間、今までが嘘のように、その線≠ヘ消えてしまった。

 コレがなかったら、とっくに狂ってしまっていたんだろうな、と思う。

 もし、先生に出会っていなかったら、今の自分は確実に存在してはいなかっただろう。

 感謝の言葉しか、浮かばない。

 

 時計にふと目をやると、翡翠が起こしに来るまでにはまだ少し時間があるようだった。

 たまにはこんなゆっくりした朝もいいかもしれないな、などと思いつつ、部屋の窓を開け大きく伸びをした。

 新鮮な空気が身体の中を巡り、気持ちいい。

 こんな気持ちいい空気に浸ろうとして、あの夢を思い出した。

 

 ―――路地裏

     侵食する死

     赤

     凄惨な光景

     辺りに飛び散った肉片

     滴る鮮血

     カタチを失ったヒト

     黒い犬

     死を具現する有り得ざる魔の瞳―――

 

「ぐっ――」

 吐き気が襲ってきた。

 あの夢は、夢と思えないほどに、リアル過ぎる。

 思い返せば、その場の空気も、臭いも、生温かさも、全てが明確に再生される。

 

 夢だ。

 夢に違いない。

 もう、殺人鬼は、吸血鬼はいないんだ。

 あの事件は終わった。

 街は平和に戻ったはずだ。

 

 なのに――

 何故あんな夢を見たんだろうか…。

 

「――志貴さま?」

 控えめなノックの音と共に、いつもの朝と同じように翡翠の声が聞こえてきた。

「お目覚めですか、志貴さま」

 失礼します、と言って翡翠が部屋に入ってきた。

「や、おはよう翡翠」

 今までの夢を忘れるよう、少しも気にしないように、笑顔を作ってそんな挨拶を投げかけた。

「…おはようございます、志貴さま」

 翡翠も、それに答えて挨拶を返してくれる。だが、

「あの、志貴さま――ご気分が、優れないのですか…?」

 しっかりと翡翠には見抜かれてしまっていた。

「いや、そんなことはないよ。少し夢見が悪かっただけだけら」

「――昨晩の事、お覚えではないのですか?」

 昨晩…? と考え頭を捻るが、何もそれらしい答えは浮かばなかった。

「んー、全然覚えてないみたいだ。教えてくれるかな?」

 少し悩むような素振りを見せた後、はい、と答えて翡翠は話し出した。

 

「志貴さまは、昨晩知らぬ間に屋敷を抜け出されて――」

 ――ちょっと待った。俺が昨日の晩、此処を抜け出した――?

「あの方に2時過ぎに担がれて来た―――」

「ち、ちょっと翡翠、何言ってるんだ? 俺は昨日は横になってそのまま――」

 

 言って、また夢を思い出した。

 

 塗りつぶされた鮮血の赤。

 血煙が立ち昇らせる異臭。

 リアルすぎる血の感覚。

 

 あれは、本当に、夢、だったの、だろうか―――

 

 …待った、ついさっき、翡翠は変なことを言っていなかったか?

 

「…翡翠、担がれて来た、ってどういうこと…?」

「そのままの意味です。昨晩、意識を失っていた志貴さまをわざわざ担いで来て下さったのです」

「いや、だから。それは一体…」

「その方でしたら、先ほどから門のところでお待ちになっておりますが――」

 それは、つまり――

「うわ、そういうことは早く言ってくれよ。…ん、分かった。着替えてから行くから、先に行ってて」

「…はい、失礼します」

 お辞儀をして退室する翡翠を見送ってから、さっさと制服に着替え、居間へと急いだ。

 

「おはよう秋葉、琥珀さん」

 例によって例の如く、秋葉は優雅に紅茶を飲んでいて、琥珀さんもその少し離れたところに待機していた。

「あら、おはようございます兄さん。今日はお早いんですね」

 多少、嫌味が入っていた気もしないではないが、気にしないでおくことにした。

「あぁ、なるべく急いだ方がいいらしくてさ。あ、琥珀さん、朝食の用意って出来てます?」

「はい、出来てますよ。用意してありますから、ちゃっちゃと食べちゃってください」

 いつも通りの笑顔を浮かべて、琥珀さんが言う。

「そっか。じゃあ頂いて来るよ」

 んじゃ、という言葉を残して朝食を取りに向かった。

 今日は待ってる人がいるのだから、あまりゆっくりとしている時間はない。

 なるべく急がなければ――。

 

「それじゃあ行ってくる。あ、今日は見送りはいいから」

 門のところで待ってるらしいしね、と付け加えて翡翠に伝える。

「はい、分かりました。…今日のお帰りはいつ頃になりますか?」

「んー、そうだな。夕食前には帰ると思う」

 はい、わかりました、と言う翡翠の声を聞いて、

「行ってきます」

 屋敷を出た。

 

 

 さて、今日は何やら待ち人がいるとか何とか。

 それがしかも昨日、自分を運んでくれた人だとか。

 それはあまり待たせては失礼だ。

 少し早足で門まで向かった。

 

「――って、シエル先輩だったんですか!?」

 門のところに待っていたのは、制服姿のシエル先輩、その人だった。

「なんですか遠野くん。私では不満ですか?」

「いや、そういうことじゃなくて、何と言うか、全然予想してなかった為に驚いていると言うか――」

「…まぁいいです。それより早く学校に行きましょう。下手したら遅刻ですよ」

 それは困る。取り敢えず学校には向かうことにしよう。

 

「――で、シエル先輩。夜に俺を運んでくれたって…本当?」

 学校への道を歩きながら訊くと、シエル先輩は驚いたような表情をしてから言った。

「はぁ、覚えてないんですか遠野くん。昨日、遠野くんは路地裏に倒れていたんですよ?」

 

 ―――っ

 

 その言葉は、昨日の夢が夢でないと告げているようなものだ。

「でも、相変わらず遠野くんは厄介ごとに巻き込まれるのが好きですねー」

「――先輩。路地裏ってやっぱりヒトが……」

 その言葉に、先輩の表情が真剣なものになる。

「―――はい。確かに、三人ほどのヒトが殺されたようです。それも、人にではなく、獣のようなものに」

 それは俺にも分かる。人間に人をあんなにバラバラにすることは出来ない。

 そして、肉片の断面は、千切られたようにしか見えなかった。

「切り裂かれた、と言うよりも、喰い千切られた、と言うのが正しいですね」

 獣…先輩はそう言った。

 それで思い出した。あの、黒い犬を。

 自らが、その点≠貫いた、獣を。

 

「混沌……」

 それは、先輩の呟き。

 混沌――

 宇宙生成の最初期、天地未分でドロドロであったという状態。

 同程度の力のものが互いに凌ぎを削っており、形勢がどう変わるか、見通しの立たない様子。

 物事が、ハッキリしない様子。

 そして、ひとりの吸血鬼―――

 666の獣の因子渦巻く、混沌の死徒二十七祖。

 

 ――ネロ・カオス

 

 あの時、あの夜の公園で、遠野志貴が殺した°z血鬼。

 完全に点≠衝いたはずだ。

 点≠ヘ死

 完全なる、存在の…意味の死。

 それを与えたはずなのに――先輩はその名を発した。

 

「―――先輩、混沌っていうのはやっぱり…」

「いえ、ネロ・カオスは完全に消滅しています。ですが…あの時。あっ、昨日の夜のことです。遠野くんを見つけた路地裏で、コールタールのようにドロドロになって消えていったモノを見たんです」

 確かにそれは、ヤツに似ている。

「えっとですね、これは私の見解なんですけど。ネロ・カオスの本体は死滅していますが、その身体を形作っていた混沌が、いくつか本体から離れて存在していたのではないかと…」

 それなら意味は分かる。本体と離れていたが為に消滅を逃れた混沌が、街で殺人事件を起こしている。つまりはそういうことなのだろう。

「ですがねー、本体と離れていたとしても、何かに同化でもしていない限りは結構早い時期で元の混沌に戻っちゃうんですよ。何で今更に出てきたんでしょう?」

「そんなこと言われても、先輩に分からないことが俺に分かるわけないじゃないですか」

 ――言って、とても重要なことに気付いてしまった。

 もし、本当にそうだとしたら、責任と言うヤツは俺にある。

 

「――先輩。今日は学校サボるので、後宜しく」

 そう言って、学校とは違う方向に走り出した。

「えっ!? ちょ、遠野くん―――!」

 後方で何やら文句を叫ぶ声が聞こえた気がしたが、今はそんなことに気を配っている余裕がなかった。

 

 

「アルクェイドッ!」

 あるマンションのある一室、その扉を開けると同時に大声を上げていた。

 その声を聞きつけてか、アルクェイドが笑顔を浮かべながらひょこっと奥の方からやってきた。

「あっれ〜? どうしたの志貴、そんなに慌てて。何? そんなに私に会いたかったの?」

「バカっ、そんなことじゃないんだ!」

「もうっ、そんなに怒らなくたっていいじゃない。取り敢えず落ち着きなさいよ」

 ぐっ――と喉から出かけた言葉を飲み込む。確かに、落ち着かないことには話も出来ない。

 

「で、どうしたの志貴」

 そう言うアルクェイドはベッドに腰掛けていて、自分はそのすぐ横で床に座り込んでいる。

 そんな、アルクェイドの言葉をきっかけに、先ほど気付いてしまった事を訊いた。

「――俺の身体の混沌は、どうなってる?」

 唐突で意味の不明な節のある言葉に少し固まった後、

「あぁ、志貴の身体を直すのに使った混沌のカケラのことね」

 と言って、身体を凝視してきた。

 何か、少し気恥ずかしい。などと思っていると、アルクェイドが驚いた表情で言葉を発した。

「…ちょっと志貴。どうしたのよ、コレ」

 その言葉で、自分の予想が当たってしまったのだと理解した。

「やっぱり、ないんだな…?」

 それは、混沌を指す言葉。

 自分がネロ・カオスとあのホテルで遭遇したときに抉り取られた身体、それを修復する為に用いた、そのネロ・カオスの混沌の一部。

「そうね、ないわ。普通に考えたら志貴の身体と完全に同化して、それで終わりなんだけど…。何故か離れちゃったみたい。―――それよりも志貴、あなた大丈夫なの?」

 それは、身体を作っていたパーツがなくなって平気なのか、ということなのだろう。

「うん、平気みたいだ。いつもより少しダルいと言えばダルいんだけど」

「…そう。かなり志貴自身の身体が出来てたみたいね。よかったね、志貴。志貴、あの混沌嫌がってたし、離れて―――」

 その、これ以上ないって程の笑顔に、あぁ、と頷き、

「―――って違ぁぁうッ! その混沌が街で人を殺してるんだって!」

 力いっぱいに叫んでいた。

「いったぁ〜…。もうっ、耳元で叫ばないでよ」

 不満を思いっきり顔に出して、アルクェイドが文句を言う。

「そんな混沌のカケラくらい、志貴がいつもみたいにちょちょい、っと殺しちゃえばいいじゃない」

「ばっ――。そんなこと出来るか! 確かにこんな眼は持ってるけどな、いつもはただの一般人だぞ、俺は!」

 それを聞いてか、それとも聞いていないのか、アルクェイドの表情が鋭くなる。

 鋭い視線を送るのは、自分にではなく、その後方…

 

「――まったく。貴女は遠野くんをいったい何だと思っているのですか?」

 

 そんな言葉が、部屋の入り口の方から投げかけられた。

「――シエル」

 アルクェイドの表情は更に鋭くなる。

 アルクェイドが見据える先…玄関に、背を凭れさせてシエルが立っていた。

 制服姿なのは、あのままやって来たからなのだろう。

「どうして貴女が此処にいるのよ、シエル。貴女が此処に来る意味なんてないでしょう?」

「いいえ、そうでもありません。そこにいる健全で善良な一般市民を見す見す吸血鬼の傍には置いてはおけませんから」

「志貴は自分から来たのよ。貴女にどうこう言われる筋合いはないと思うけど?」

 両者の視線が交差し、絡み合い、火花を散らす。

 その視線は鋭く、小動物はその視線だけで生命活動を放棄してしまうかもしれない。

「―――」

「―――」

 両者が、両者の動きを伺っている。

 アルクェイドの眼は更に紅みを増し、後ろにまわしたシエルの手からはカチャリという金属音が鳴った。

 まさに一触即発。

 ふたりの距離がじりじりと縮まっていく。空気が、ビリビリと震え始め――

「待ったッ!」

 その間に志貴が割って入った。

 

「アルクェイドも先輩も、落ち着いてくれよ。この階全部を貸切ってるとは言え、ふたりが騒げば他の人が気付くに決まってる。そうなったら、どうなるか分かるだろ?」

 その言葉を聞いて、ふたりの臨戦態勢が崩れた。

「そう…ですね。確かにそれは避けたいです」

「あーぁ、興醒めねぇ」

 取り敢えずは、会ってすぐに戦闘態勢に入ってしまう、この習慣を何とかしたほうがいいな…などと思う志貴だった。

 

「――それで。シエル、本当の用事は何?」

「遠野くんが言っていた、夜に出没する殺人鬼の事です。貴女も知っていると思いますが、アレは――」

「混沌なんでしょ? 志貴に聞いたわ。間違いないわね、混沌の欠片が人を喰ってる」

「――そこです。先程聞いてしまいましたが…遠野くんの身体の混沌、というのは何ですか?」

 言って、志貴を見据えた。と言うより、睨み付けた。

「…言って、なかったっけ…?」

「はい、ひとことも」

 口元だけで笑って、シエルが言う。だが、目が全然笑っていない。

「別に大した理由はないわよ。志貴の身体を直すにはアレを使う方が都合がよかっただけ」

「都合がよかっただけ……!?」

 シエルがアルクェイドを睨む。

「都合がよかったとは何ですか! そもそも、どこに遠野くんがそんな大怪我を負う要因があるんですっ。貴女がしっかりしていれば、混沌を退けることくらい出来たでしょう!?」

「しょうがないじゃない。あの時は、志貴に殺された後で力が殆んどなかったんだから。それにそこから考えれば、元々悪いのは志貴だし。そして志貴があの程度の怪我で済んだのは私のお陰よ? 私に落ち度はないわ」

 アルクェイドはあっさりと切り捨てた。

 しかも、その話の中身は全て正論で、言い返せる箇所などどこにもない。

「――っ」

 シエルは食って掛かろうとするが、言葉を、ぐっと飲み込んだ。

「…と、とにかく! 混沌が街で狩りをしているのは確かなんです。――不本意ですが訊きます。あの混沌を打ち滅ぼす手はなんですか?」

「そうね。混沌は混沌に還るだけだから、その個体を討っても無駄ね。殺るなら本体、ってことになるんだけどぉ……」

 言いつつ、アルクェイドは志貴を横目に見た。

「志貴を殺す?」

 そして、とんでもないことを口走った。

「あー、文句は言わないで。しょうがないじゃない、今はあの混沌の本体は志貴なんだし。それに志貴も知ってるでしょ? 混沌は混沌に還るだけって。そしたら、本体を潰すしかないじゃない」

「――えっと、つまり…混沌を消滅させるには本体ごとでなければ意味がなくて、そしてその本体が、俺だ、と」

「そういうこと。なぁんだ志貴、わかってるじゃない」

「…そ、そんなこと出来るわけないじゃないですかっ」

 シエルが、大声を張り上げた。

「遠野くんを殺すなんてことできませんっ。アルクェイド、貴女は平気なんですか!?」

「いいえ、全然平気じゃないわ。志貴が居なくなるなんて、考えられない」

「…じゃあ、混沌はどうするんだ?」

 命の天秤にかけられている志貴が、発言をした。

「そ、それは…」

「まぁ、方法はあるんだけどね」

「…それは、やっぱり――」

「そう、ですね。ソレしかないですね…」

 

「「「 直死の魔眼 」」」

 

 三人の声が、綺麗に重なった。

 直死の魔眼――この世に見えざる死≠具現する魔の瞳。

 あらゆる物が生まれた時から有す寿命、その存在限界を読み取る力。

 ナイフ一本であらゆるものを殺す力――

 

「結局、結論はそうなるわけだ」

「本当に志貴って厄介ごとに巻き込まれやすい体質ね」

 そう言うお前が最初の厄介ごと≠セ、とは口にせず、内心で毒づいておく。

 

 その後、志貴は学校へ向かった。当然のように遅刻だが、シエルが言うに、混沌が現れるのは深夜だけ、とのことからだ。ちなみにシエルは学校へ行かなかった。何でも、

「いろいろと準備がありますから」

 ということらしい。

 アルクェイドはアルクェイドで、

「一応、夜まで眠るから」

 とか言って眠ってしまった。

 

 

 取り敢えず、集合の時間として定めた午前0時までに全てを整理しておくとしよう―――

 

 

 

 

中書と言う名の後書

 初の月姫SSですねー。何と言うか、元の文章表現が巧すぎるので大変です。

 こんな未熟者では上手く書けませんよ、ホントに。

 遠野家メンバーの難しいのなんのって。特に翡翠がよく分からない…。秋葉とか琥珀さんの方が分かりやすいのに…なのに出番が少ない…。

 アルクェイドはお気楽アーパーになっちゃったし、シエル先輩は何かもうよく分かりませんよ。志貴なんてもってのほか。

 取り敢えず、この前編は戦闘もないし、面白くないかも。

 戦闘は、後編で。

 志貴くんの直死の魔眼が冴えます。


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